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プルースト効果って何?プルースト効果で記憶に残る女になる方法

平松隆円

平松隆円R.Hiramatsu

目次

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1:香りと記憶の関係は論文でも立証済み!プルースト効果とは

マルセル・プルースト(Valentin Louis Georges Eugène Marcel Proust)というフランスの小説家が、20世紀に『失われた時を求めて』(À la recherche du temps perdu)という作品を書いています。

このなかで、“紅茶にひたしたマドレーヌを食べていると、ふと幼い頃の記憶が鮮明によみがえってきた”という内容の記述があるのですが、私たちはふとした瞬間に嗅いだ匂いで、過去の記憶がよみがえることがあります。

 匂いと結びついた過去の記憶がよみがえることを、マルセル・プルーストがこの小説の中で印象的に描いたことから、「プルースト現象(Proust phenomenon)」とよばれています。

プルースト現象に関する研究は、これまでいくつか行われてきました。おおむね、それらの研究に共通している結果は、匂いによって思い出される記憶は、言葉を手がかりに思い出された記憶より、詳細で鮮明だということです。

 

2:匂いと記憶の関係は最強!プルースト効果が生まれるメカニズムと原因

(1)プルースト効果は匂いと体験した記憶が結びついておこる

プルースト効果で思い出す記憶は、自伝的記憶という「これまでの生活で自分が経験した出来事に関する記憶」とされています。つまり、プルースト効果が生じるためには、匂いと実際に自分が体験した記憶が結びつかないとダメなんです。

たとえば、ピーチ、ジャスミン、ミント、オレンジ、せっけん、バニラ、ヒノキ、ローズなどの匂いを嗅がせたあとに、「何か思い出しましたか?」と質問をします。

すると、「当時つき合っていた彼女がパンケーキを作ってくれて、一緒にトッピングをしながら食べたこと」「夏休みに親の実家に遊びに行ったときに、改築したての床の間で従兄弟たちと遊んでいたときのこと」などの過去の記憶を思い出したなら、これをプルースト効果と呼べるわけです。

(2)プルースト効果が生まれる原因は?

先述した通り、プルースト効果が生まれる原因について、多くの研究が行われてきました。ただ実は詳しいことは、いまだにわかっていません。

しかしながら、仮説として、こんなことが考えられます。

太古の昔において、人は外敵から身を守る必要がありました。視覚や聴覚は、敵が近づいているかどうかを判断するのに重要な感覚です。ですが、もし敵が隠れていたら? それを考えると、嗅覚(匂い)で敵の居場所がわかれば、より身の安全を守れるわけです。

また、食べることができる食物かどうか、腐っていないかどうかも、実際に味見をしたら命の危険にかかわります。ですが、匂いでそれが判断できれば、身の安全を守りやすくなりますよね。

そういったことで、嗅覚と記憶が密接に結びつくようになったのではないかと考えられることもあります。

 

3:心理学者が教える!プルースト効果を使って「忘れられない女」になる方法2つ

研究によれば、プルースト効果を得るにはどんな匂いでもいいわけではないことがわかっています。

おおざっぱにいえば、快な匂いは不快な匂いよりも、快な感情特性を持つ自伝的記憶が喚起されやすいとされています。つまり、いい匂いはいい記憶と、悪い匂いは悪い記憶と結びつきやすいということです。

また、「複雑な匂いよりも単純な匂いのほうがいい」という研究結果もあります。

たとえば、「チョコレート」と「ミント」と「チョコミント」という3つの匂いがあったとして、チョコレートやミントは、それぞれ記憶につながりやすいものの、チョコミントになると、ぼやけてしまうということです。

では、このプルースト効果を使って、忘れられない女になる方法を考えてみましょう。

(1)シンプルな香水を使う

身につける香水の香りは、シンプルなほうがいいかもしれませんね。たとえば、フローラル系のようなものです。

複雑な香りや、時間ともに香りが大きく変化する香水は避けたほうがいいかもしれません。

(2)香りを使い分ける

つねに同じ香りを使うと、どの記憶を結びつけたらいいかわからなくなってしまいます。なので、場所や時間や場合(TPO)にあわせて、身につける香水やルームフレグランスを使い分けるといいでしょう。

 

4:香りを「今」上手に利用するのも大事

ここまでコラムを書き進めておいてなんですが、「忘れられない女になる」というのは、彼と別れたあとの話……ということにもなりますよね。

プルースト効果で、仮にあなたのことを思い出したからといって、よりが戻るわけではありません。それよりも、今の恋愛が上手くいくように香りを活用することも考えましょう。

この章のテーマからは少しそれてしまいますが、化粧心理学の研究では、香りが人間関係を円滑にさせたり、魅力を増進させるということがあきらかになっています。そういった目的で、香りを活用した方が、いいかもしれません。

 

5:まとめ

いかがでしょうか? まだまだ、香りと記憶の関係はわからないことだらけです。無臭が好きな日本人とよく言われますが、上手く利用して損はないことは間違いなさそうですよ。