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老後資金や生活費の目安は?老後資金や生活費をシミュレーション
大山奏K.Ohyama
目次
隠す1:老後の貯金がないのは不安!老後の生き方、生活設計を考えよう
(1)老後の貯金なしだと悲惨!老後破産する人の割合
「老後破産」や「下流老人」という言葉があちこちで聞かれます。厚生労働省の発表した「平成30年 国民生活基礎調査」の各種世帯の生活意識をみてみると、高齢者世帯の55.1%が「苦しい」と答えています。
また、同省の「生活保護制度の概要等について」では、生活保護受給者のうち、65歳以上の割合が45.5%にも上っています。
現状でも、悠々自適の老後を送っている人は、ごく少数なのです。
(2)老後の貯金額の平均は?
次に60代、70代の人の貯金額をみてみましょう。「平成28年国民生活基礎調査」によると、60代の平均貯金額は、1337万6,000円で、全年齢の中でいちばん多く、70歳以上の平均貯金額は、1260万1000円となっています。
60代、70代では年金以外の収入がない人が多いでしょうから、この貯金はほぼ増えることがなく、生活費をここから捻出させるため、毎月減っていくと考えられます。
(3)老後資金の貯金、貯蓄はいつから始めればいい?
誰もがいつかは年をとります。老後に破産をしたり、下流老人にならないように対応していきたいですよね。では、貯金や貯蓄はいつから始めれば良いのでしょうか。
正直、これは早ければ早いほうが良いとしか言えないでしょう。人によって老後どんなふうに生活したいのかは違います。まずは、自分が老後、死ぬまで生活できる金額はいくらかなのかを計算して、把握することが大切です。そして、それを踏まえて、来月の給料日から少しづつでも貯めていきましょう。
2:老後の生活費をシミュレーション!老後資金の計算方法
ここからは、具体的に老後資金がどれくらいあれば安心なのか、計算方法を紹介します。
(1)老後の夫婦の生活費の1か月の平均とその内訳は?
総務省の2018年版「家計調査/家計収支編」によると、世帯主が60歳以上の無職世帯の生活費の平均は以下のようになっています。
食費・・・55,593円
住居費・・・14,148円
光熱・水道費・・・17,999円
家具・家事用品・・・8,262円
被服及び履物・・・5,443円
保健医療・・・11,988円
交通・通信・・・22,688円
教育・・・234円
教養娯楽・・・21,416円
その他の消費支出・・・43,284円
消費支出合計・・・201,055円
住居費がやけに安いのは、持ち家の人が含まれた平均だから。賃貸の場合はもっと費用がかかるでしょう。
(2)夫婦に必要な老後資金・貯金の目安は?
老後の生活費の平均額は、夫婦で大体20万円近くだとわかりました。ではどのくらいの貯金を目標にすれば良いのでしょうか?
月20万円として、12か月で240万円。仮に85歳まで生きるとすると、60歳から85歳までの25年間、夫婦が生活をしていくためには、240万円×25年で、6000万円が必要ということになります。
厚生労働省の「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成29年の厚生年金の受給権者平均年金月額は14万4903円、国民年金だと5万5615円です。
これをもとに計算すると、夫が厚生年金を、妻が国民年金を受給する場合、25年間でもらえる年金の額は、1682万9403円となります。
6000万円からこの年金受給額を引くと、4317万0597円です。ここから退職金や満期になる保険金など、受け取れる金額を引いた金額が、老後までの貯金額の目安となるでしょう。
(3)老後の一人暮らしの生活費の1か月の平均とその内訳は?
次に、単身者の場合も見ていきましょう。こちらも総務省の「家計調査」を見てみると、高齢単身の無職世帯の生活費の内訳は以下のようになっています。
食費・・・35,336
住居費・・・14,550
光熱・水道費・・・12,896
家具・家事用品・・・5,877
被覆及び履物・・・3,792
保険医療・・・7,918
交通・通信・・・12,954
教育・・・0
教養娯楽・・・16,760
その他消費支出・・・31,446
消費支出合計・・・141,529
夫婦世帯よりもいくつかの項目で費用が下がっていますが、住居費などは減らすのが難しく、合計支出は単純に半分になるというわけではありません。
(4)一人暮らしに必要な老後資金・貯金の目安は?
女性が一人暮らしをしていく場合に、老後に必要な貯金額も調べてみましょう。厚生労働省の調査から、女性の厚生年金の平均受給月額は10万3026円です。
1か月の消費支出を上記として、60歳から85歳までの生活費の合計は4245万8700円になります。また、65歳から厚生年金をもらった場合、平均受給月額で85歳まで計算すると2472万6240円となり、その差額は1773万2460円です。
これらの生活費には病気になった場合や、施設に入るためのお金は含まれていないため、それらを考えると、2000~2500万円くらいは用意しておいたほうが安心でしょう。また、そもそも、住居費を1万4550円として、生活費を14万円で計算していることもお忘れなく。
3:老後破産について学べるブログ3選
(1)かろうじて中流老人・・・老後破産・下流老人回避の為の自戒ブログ
ブログ主である中流老人さんのつづるこちらのブログには、老後破産や下流老人にならないためにはどうしたら良いかなど、参考になる情報が多く紹介されています。
現代の社会制度や、資産形成の方法など、自分に当てはめて考えることができる内容が盛りだくさんです。
(2)夢逢人かりそめ草紙
年金生活をしている夢逢人さんが、日々のニュースなどを見ながら、どのようにすれば年金だけで生活していけるのかを綴ったブログです。
年金をもらっている人だけでなく、日々の過ごし方で節約ができるということを学ばせてもらえます。
(3)毎日楽しく幸せに貯金・節約生活ブログ
こちらは40代のシナモンさんが運営するブログです。老後になってから、老後の生活を変えることは難しいので、若いうちから老後の計画を立て、しっかり節約や貯金をする必要があるということを教えてもらえます。
4:あらすじだけでも知っておこう!老後資金について学べる本3選
老後資金について学ぶには、書籍も参考になります。おすすめの3冊を紹介します。
(1)『老後の資金がありません』垣谷美雨
まずは垣谷美雨さんの小説。貯金など十分な対策をして老後に入ったと思っていたのに、娘の派手婚や義父の葬儀、義理母の介護など、思いがけない出費が続いて、老後資金がどんどん削られていくというストーリー。
実際にある老後問題がふんだんに盛り込まれています。
(2)『おひとりさまの老後のお金と暮らしの本』百田なつき・にしだきょうこ
アラサーやアラフォーで、おひとりさま……。一生結婚するつもりがないとなったとき、老後のお金についてはどうすれば良いのでしょうか?
そんな疑問にすべて答えてくれるのがこの本です。もらえる年金額を調べたり、老後資金を貯めるにはどうしたら良いかなど。不安になったら読んでみてくださいね。
(3)『オンナひとりでもどうにか生きていけるっぽい! 定年一年生の教科書』東園子
こちらも老後に備えたいけど、何から始めたらいいのかわからないという人におすすめのコミックエッセイです。主人公の3人の女性は、それぞれ状況が違うので、自分に似た人と比較して読んでみると良いでしょう。
同様のシリーズで複数タイトルが発売されているので、この本が気になったなら、別の本も読んでみるとより深く理解できるかもしれません。
5:老後におすすめの趣味5選
最後に、老後におすすめの趣味を紹介します。老後までに、自分に合うものを見つけておくことが重要ですよ。
(1)ウォーキング
老後を楽しく暮らすためには、健康であることがいちばん大切です。そのためには、運動習慣が重要。ウォーキングならお金をかけなくても良いし手軽でしょう。
ただ歩くだけではつまらないと感じるなら、登山などに挑戦してみても良いかもしれません。
(2)語学
語学は脳の活性にも繋がりますし、世界中に友達ができます。また、妙な外国語の詐欺メールに、わけもわからず騙されるなどといったことも回避できます。
今はオンラインなどのレッスンもたくさんあるので、出かけるのが好きでない人にもおすすめです。
(3)旅行
仕事をしているせいで長期休暇を取るのが難しくて、行きたくても行けない場所がたくさんあるという人も多いのではないでしょうか。
リタイア後は自由自在、世間の繁忙期などを避けて旅行することもできます。今から老後の旅行費用のために節約を頑張るというのも良いかもしれませんね。
(4)落語
落語を聞くことの効能は、笑うことにあります。人は笑う回数が減ってしまうと、どうしても気分が沈みがちになります。
笑わせてくれる人が周りにいない場合には、積極的に笑える環境に身を置いておくことで、老後を楽しく過ごせるかもしれませんよ。
(5)ブログ
先ほども老後の生活がわかるブログなどを紹介しましたが、老後にブログを綴っているという人は意外と多いです。ブログを書くメリットは、ブログに書く内容を考えることで頭を使う、人と繋がる場所ができるなど。また、システムを導入すれば、広告などのアフィリエイト収入も期待できます。
ひとりで過ごしていると孤独を感じてしまいますが、ブログのコメントのやり取りがあれば、寂しいと感じずにいられるかもしれません。
6:老後を心配しすぎても仕方がないけれど…
老後問題は社会問題として、ニュースに取り上げられることも多いです。老後破産なんて言葉を聞くと、自分の将来が不安になったりもしますよね。
心配しすぎるのは良くありませんが、老後のためにできることは少しずつでもしておいたほうが良いでしょう。
まずは自分のもらえる年金額や生活費から、老後に必要な資産を計算してみてはいかがですか?
【参考】
「生活保護制度の概要等について」 – 厚生労働省
「平成30年 国民生活基礎調査」 – 厚生労働省
「平成28年 国民生活基礎調査」 – 厚生労働省
「家計調査 / 家計収支編 総世帯(2018年)」 – 総務省
「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 – 厚生労働省