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主語述語の関係って?主語述語の見つけ方と難しい問題

槻谷岳大

槻谷岳大T.Tsukitani

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目次

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1:主語述語の関係って?

「誰が」「何が」を表す主語と、「どうする」「どんなだ」とそれを受ける述語は、文の骨格となる関係にあるものです。ところが、日本語は主語がなくても成り立ちやすい言語だと言われています。例えば、有名な川端康成の小説『雪国』の冒頭はこのようになっています。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」

英語ならば「The train~」と始まるでしょうが、この主語が無い特有のフレーズによって、あたかも読者がその場にいるような臨場感を出せるのが、日本語の美しい妙技ではないかと思います。

しかし文学とは違い、現実のビジネスシーンなどでは、こちらの意図を正確に伝えるのが重要。そのため、主語述語を正確に話すことが求められるケースが多いのです。

 

2:説明できる?主語・述語・修飾語・目的語の違い

文は主語・述語のほかにも、修飾語や目的語などの文節によって構成されます。まずはそれぞれの意味を確認してみましょう。

(1)主語

その文や行動の主体を表します。「~は」「~が」「~も」の形で、文頭にもってくるのが普通です。「例:私は(主語)フランスに行きます」など。『雪国』の例の通り、当然わかる、というケースでは、省略されることも多いです。

(2)述語

その主語となったものが、「何をする」「どうした」「ある」「ない」など、行動や結果などを説明するのが述語です。「田中さんは(=主語)帰ります(=述語)」のように、普通は述語を文末にもってくることが多いですが、「帰りました(=述語)、田中さんは(=主語)」など、述語が前に来ることもあります。これを倒置法といいます。

(3)修飾語

「大きな」「速く」など、主語や述語など他の文節を詳しく説明するのが修飾語です。「大きな(=修飾語)花が(=主語)咲いた(=述語)」のように主語を説明したり、「佐藤さんは(=主語)速く(=修飾語)走った(=述語)」のように、述語を詳しく説明することもあります。

(4)目的語

多くの場合、「~を」「~に」などで述語が何の目的でされるのかを示すものです。「鈴木さんは(=主語)リンゴを(=目的語)食べる(=述語)」とか「私は(=主語)北海道に(=目的語)行く(=述語)」などです。

 

3:大人でも苦手な人はいる!主語述語がない人の会話の特徴5つ

それでは次に、主語述語がない会話をしてしまう人の特徴をいくつかご紹介します。

(1)相手の立場に立って話せない

相手が今どんな状況にいて、その言葉で理解できるかといった立場を考えて話せない人は、主語述語がない話をしてしまいがち。

職場というのは、複数の業務をかけもっている人がほとんどです。例えば多くの商品を扱う会社で、上司から「メールしておいてくれた?」といきなり聞かれても、何の業務の件なのか、誰に送るメールなのか……と、わけが分からなくなってしまいます。

(2)自覚症状がない

自分の話す言葉に、主語が抜けているという自覚が無い人です。相手を混乱させてしまっていることに気が付かず、また、悪気もないので指摘もしにくく、余計に気付くきっかけが遅れることがあります。

(3)相手の話を聞くのが下手

主語を入れずにしゃべる人は、相手の話を聞くのも下手な人が多い傾向があります。このタイプは、自分の要件を伝えたことで満足して、相手がちゃんと理解しているのかを確認しません。そのため、結果的に自分の話し方の改善もできないのです。

(4)結論を急いで話す

せっかちで結論を急ぐがゆえに、主語述語を正しく使えない人がいます。相手に意図がよく伝わらなければ、余計に時間がかかってしまいます。せっかちであるなら、一度で相手に理解してもらえるためにも、主語述語をはっきりさせて伝わりやすくするべきでしょう。

(5)略して話すことが多い

「なるはや」(なるべく早く)、「オンスケ」(オンスケジュール)など、ビジネス用語などで略語を多用する人も、主語を抜いて話すこと多い傾向にあります。略語好きタイプは、相手がその略語の意味を知っているかどうかを考えなしに発言してしまう性格なのです。つまり、ちゃんと理解してもらえているかということに意識が向かないということ。当然、わかりやすくするために主語を入れようなんていう発想にならないのです。

 

4:主語述語の問題がわからない!文法を理解するテクニック3つ

例えば、次の文の主語述語は何かわかりますか?

「私は昨日のライブでバンドリーダーとしてギターを上手に弾きました」

これを例に考えてみましょう。

 (1)述語から考える

主語述語の問題のコツの第一は、述語から考えることです。上の文ならば、「弾きました」が述語のため、弾いた主体は「私は」であることがわかります。冒頭に紹介した『雪国』の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」も、「抜ける」が述語ですから、省略された主語が汽車であることが予想できます。

(2)文節で区切って考える

文節とは意味の通じる、いちばん短い文の単位のことです。文節で区切って、どこが主語述語かを考えると分かりやすくなります。

「私は/昨日の/ライブで/バンドリーダーとして/ギターを/上手に/弾きました」

このように、明確に区切ることで、見えやすくなります。

(3)5W1Hで考える

5W1Hとは、「Who/誰が」「When/いつ」「Where/どこで」「What/何を」「Why/なぜ」「How/どのように」を指し示す言葉です。これを例文に当てはめると……

Who/誰が:私は

When/いつ:昨日の

Where/どこで:ライブで

What/何を:ギターを

Why/なぜ:バンドリーダーとして

How/どのように:上手に

というように、分解して考えるとわかりやすくなるかと思います。

 

5:まとめ

日本語は主語の省略の文化もありますが、ビジネスシーンなどでは相手の立場になり、正確に意図を伝えられるかが重要。主語述語は大事なものです。自分の話し方を一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。