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訊く・聞く・聴くの違いは?訊く力でコミュニケーション能力を高める方法

松田優

松田優Y.Matsuda

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目次

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1:聞く、聴く、訊くの違い、知っていますか?

「きく」という言葉には、「聞く」「聴く」「訊く」の3つの漢字が存在します。今回『Menjoy!』では、20~30代の男女370名を対象に、独自のアンケート調査を実施。「聞く、聴く、訊く、の言葉の違いを説明できますか?」という質問をしてみました。

結果は以下のとおりです。

1位:「聞く」「聴く」はわかるけど、「訊く」がわからない・・・135人(36%)

2位:違いがわからない・・・126人(34%)

3:全部の違いを説明できる・・・95人(26%)

4位:「聞く」「訊く」はわかるけど、「聴く」がわからない・・・12人(3%)

5位:「聴く」「訊く」はわかるけど、「聞く」がわからない・・・2人(1%)

「訊く」だけ意味がわからないというのは、あまり使う機会がないからかもしれません。3つの漢字の使い分け方自体がまったくわからないという人も3割以上もいて、なんとなく使っているという人が圧倒的多数だということがわかりました。

 

2:「聞く」「聴く」「訊く」の違い

聞く、聴く、訊くにはどのような違いがあるのでしょうか?

辞書で調べてみたところ、以下のように解説されています。

き・く【聞く/聴く】

1 音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。「物音を―・く」「見るもの―・くものすべてが珍しい」「鳥の声も―・かれない」

2 (聴く)注意して耳にとめる。耳を傾ける。「名曲を―・く」「有権者の声を―・く」

3 話を情報として受け入れる。「―・くところによると」「君の評判をあちこちで―・いた」

4 人の意見・要求などを了承し、受け入れる。「親の言いつけをよく―・く」「今度ばかりは彼の頼みを―・いてやってほしい」

5 (「訊く」とも書く)尋ねる。問う。「道を―・く」「自分の胸に―・け」「彼の都合を―・いてみる」

6 感覚を働かせて識別する。

㋐(聞く)においのよしあしや種類を鼻で感じ取る。においをかぐ。「香 (こう) を―・く」

㋑(「利く」とも書く)酒の味のよしあしや種類を舌で感じ取る。味わい試す。「酒を―・く」

7 当てて試してみる。「板の厚さに―・いて釘を打つ」

8 釣りで、当たりの有無を確かめるために、仕掛けを引いたり軽く竿を上げたりしてようすをみる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

大まかにいえば大体の行動自体は同じで、基本は「聞く」ですべての意味がフォローできていて、意味によっては「聴く」「訊く」と表現できます。

ただし、どういうふうに「きく」のかに注目して見てみると、それぞれの漢字で意味合いは少しずつ異なります。

(1)「聞く」とはどんな意味?

「聞く」は主に、意識せずとも耳に入るものすべてを指すときに使う言葉です。「〇〇さんの話、聞いた?」など、日常的な会話や情報を伝える際に使うことが多いです。

(2)「聴く」とはどんな意味?

一方「聴く」は、自ら意識して、対象となる音を感じ取ろうとする意味合いがあります。例えば「音楽を聴く」といいますが、対象となる音楽がただ聞こえてくるのではなく、自ら集中して聴こうとすることを示します。他にも、会話やスピーチなどで、相手の気持ちに合わせて話を聴く際にも使用されます。

(3)「訊く」とはどんな意味?

「訊く」は何かを尋ねる際に使用する言葉で、「わからないことを明確にする」という意味合いがあります。常用漢字ではないため、日常的に使用されることは少ないですが、ビジネスシーンではよく見かける言葉です。

 

3:「訊く力」「尋ねる力」とは?3つ

訊く=尋ねることは、相手との距離を近づけるうえでとても大切なこと。現在のビジネスシーンでも、訊く力や尋ねる力はよく求められます。では、相手にうまく訊くコツは何なのでしょうか?

(1)目的をもって訊き、相手の本音を引き出す

まずは会話をするうえで、目的をもって訊くことが重要です。

なんとなく話を進めて相手のことを知ろうとするのではなく、「〇〇さんはこの件についてどのようにお考えですか?」「私は××だと思うのですが、〇〇さんはいかがですか?」など、何について話しているのか、相手のどういうところを知りたいのか、ポイントを明確にします。

会話に目的を持つことで、相手も答えやすくなりますし、具体的な訊き方をすれば、相手から本音を引き出すことができます。

(2)短い言葉で簡潔に伝えること

ていねいに説明しようとするあまり、複雑な言葉になっていませんか?

無駄に長い言葉は、会話のテンポを崩すだけでなく、訊く側も答える側も、本来の会話の目的を見失ってしまいます。

相手に何かを尋ねる際は、なるべく短い言葉にまとめ、内容を簡潔に伝えるように心がけましょう。

(3)大切だと思う話を深く掘り下げて訊くこと

ただ質問を重ね、尋ねるだけが良いとは限りません。

相手の返答の中で気になることや大切だと思う話は、「~とおっしゃっていましたが、具体的にお伺いできますか?」「そうなんですね! では△△はいかがでしょう?」など、深く掘り下げていくことで、相手の考えをより深く理解することができ、相手との距離も近づきやすくなります。

また、「自分の話をしっかり聴いてくれてるんだな」と、相手からの信頼が得られる可能性も高いです。

 

4:聞く、聴く、訊く力でコミュニケーション能力を高める方法5つ

コミュニケーションを取るときに、「話す力」を高めようと懸命になる人も多いですが、実はコミュニケーションに大切なのは「聞き方」にあります。

「聞く」「聴く」「訊く」のそれぞれの言葉が指す力で、コミュニケーション能力を高める方法をご紹介します。

(1)話を「聞く」ことが大切!

第一に、相手の話を聞くことが何よりも大切です。話すことに注力する人は、自分の思いを伝えることに必死になるがあまり、相手の話を聞くことに注力できず、会話が一方通行となってしまうことがあります。相手の話を聞くことこそ、コミュニケーションの第一歩となるのです。

(2)「聞く」姿勢は常に崩さないこと

「私はあなたの話を聞いています」という姿勢は絶やさないようにしましょう。相手が自分の話を聞いているかどうかは、態度ですぐにわかってしまいます。話に合わせて相づちを打ったり、内容によっては驚いたり笑ったりなど反応を見せることで、相手は「自分の話を聞いてくれている」と感じます。

(3)相手の様子や感情を「聴いて」汲み取ること

ただ話を聞くだけでは足りません。コミュニケーションを取るためには、相手の様子や感情の動きにも注目しながら話を聴き、相手の考えを汲み取るように心がけることも大切です。自らその姿勢を見せることで、相手も同じようにあなたの話をちゃんと聴こうと試みてくれるはず。

(4)「訊く」ことでもっと相手のことを知ろう

相手の話を聞く、聴くことに注力すると言いましたが、コミュニケーションを取るためには、もちろん自ら発信することも必要です。相手の話や考えで気になることがあれば、積極的に訊くようにして、ときには自分の話を織り交ぜながら訊くなど、相手のことを知るためのもう一歩を忘れずに!

(5)「訊いた」内容をもとに+αの情報を引き出そう

尋ねたまま終わり!では訊いた意味がありません。訊いた内容をもとに、「私も同意します。でも〇〇になるためにはどうしたら良いですかね?」「それでしたら△△はいかがですか?」など、聞く・聴くだけでは得られない+αの情報を相手から引き出しましょう。

 

5:まとめ

聞く、聴く、訊くをシチュエーションに合わせて使い分けることで、自分の何気ない行動にも理由ができ、今自分はどのような姿勢であるべきかを俯瞰的に考えることができます。漢字ごとの意味合いを理解し、ビジネスシーンや交流会など、幅広いコミュニケーションを育む場に反映させていきましょう。