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セックスと愛は別物?セックスレス婚をする34歳女教師のこれから【第11話・前編】―シンデレラになれなかった私たちー
毒島 サチコS.Busujima
Case11:彼とのセックスレスに悩む女性
名前:リホ(34歳)
徳島県出身。大阪市で小学校教員として働いている。付き合って6年目になる婚約者がいるが、3年以上セックスをしていない。
セックスは計画的にするもの?
4月のある日、私は同窓会のため、地元徳島県のレストランにいました。
同窓会も後半に差し掛かかり、みんながほろ酔いになったころ、みんなのマドンナ的存在だったヨウコが「旦那にLINEしなくちゃ」と言って、スマホを取り出しました。
幸せそうな顔でLINEを打つ姿を見て「なになに~」と、私は思わずヨウコのスマホ画面をのぞき込みました。
そこには「もうすぐ帰るよ。今日は愛し合おうね」と、まるで新婚のようなラブラブの文面が並んでいます。
「いいな~ラブラブなんだね。うらやましいよ」
私がそう言うと、ヨウコは含み笑いを浮かべて、予想もしなかった言葉を発したのです。
「違うよ~(笑)。結婚して2年もたてば、旦那に愛なんてない。いま、妊活中なの。確実な日を狙ってるんだよね」
そして、バッグからスマホを取り出して、「これこれ! これが優秀なのよ」と言いながら、妊活アプリを開きました。
ピンク色のカレンダーの上で、ハートマークのアイコンが点滅しています。
「リホも結婚したら、すぐに計画的に妊活したほうがいいよ。もう若くないんだから」
「妊活は計画的にしたほうがいい」という言葉が、しばらく耳にこびりついて離れませんでした。
まるでセックスを仕事や作業のように「計画」という言葉で表現するヨウコに対して、大きな違和感を覚えたのです。
カレンダーに「セックス」の予定を入れるって……。セックスは自然な流れでする行為じゃないの……。
セックスレス3年目のカップル
同窓会を終え、大阪へ帰る新幹線の中で、私は自分のこれからのことを考えました。
私には、付き合って6年目になる1歳上の彼氏がいます。同棲も3年目に入り、先月婚約しました。
大学で事務の仕事をしている彼は、とても穏やかな人で、私の両親も、彼との婚約を喜んでくれていました。結婚式の準備をしながら、私は何度も幸せをかみしめていました。
でもひとつだけ、私は彼との間に重大な悩みを抱えていました。
それは「彼と3年以上セックスをしていない」ということです。
付き合って6年目、セックスレス3年目
付き合いはじめて最初の半年間は、週何回かのデートのあと、セックスをしていたように記憶しています。でも、恋愛経験の少ない者同士、どういうセックスが正解なのかわからないままでした。オーガズムに達したという経験もありません。
そして、付き合って2年を過ぎたころ、彼の部屋に転がり込むようなかたちで、半同棲状態に。彼はそのとき転職したばかりで、忙しい日々を送るようになっていました。毎晩残業続きで、帰ってきたらすぐに寝てしまいます。
そして気付けば、セックスをしなくなって半年がたとうとしていました。お互い心地いい関係ではあるものの、スキンシップのない毎日。付き合いたての新鮮さはなくなっていました。
いつの間にか私も、彼にお風呂上がりの姿や脱ぎっぱなしの下着を見られても、羞恥心を感じなくなっていったのです。
「さすがにこのままじゃマズイかも……」
「私のこと、女として見てくれてないのかな」
そうした不安から、ネットでセックスレスに関する記事を読み漁ることもありました。
でも、どの記事も「女性として魅力的になる」「彼をメロメロにさせるテクニック」といった、抽象的な内容のものばかり。
一度も性に盛り上がったことがないふたりにとって、セクシーな下着を着て誘惑するわけにもいかず、自分のようにセックスレスに悩む女性が多いということは実感したけれど、「こうすれば解決する」という答えは、誰も持っていないのではないか……と、悩みの森に迷い込んだ気分でした。
ただひとつだけ共感したのは、こんな記事。
「たいていセックスレスに悩んでいるのは、カップルのうち、どちらか片方だけ」
彼は私がセックスに誘ってもいつもこう言いました。
「今日は疲れてるからまたにしよう」「一緒に寝れるだけで幸せだよ」
でも、そんな彼の言葉まで、信じられなくなる始末。
「私に女性としての魅力を感じなくなったのかな」
「彼は浮気しているのかもしれない」
「このまま結婚して、子供ができなかったらどうしよう」
不安は、大きくなるばかりでした。私は、先の見えない彼との関係に、もやもやをつのらせていました。
セックスと愛は別物なの?
「リホ、セフレでも作っちゃえば?」
私には、人には言いづらい悩みを打ち明けられる相手がいました。大学の同級生だったアヤカです。
「セックスは計画的にって言葉、なんか、アコムのCMみたい(笑)」
そういいながら、アヤカは「でもほんとそうだと思うわ」と言葉をつづけました。
「夫婦になる相手とのセックスって、その先に目的がないとだめだと思うんだよね」
「目的って……?」
「子供をつくることだよ」
アヤカは「だから私は結婚したくないの」と言葉を続けました。
「私は、先を考えてするセックスは嫌なの。セックスって、快楽のためにするものだって思ってる」アヤカには、セフレがいます。その人は、私も知っている大学の同級生でした。
広告代理店でバリバリ働くアヤカは、今のところ結婚願望はなく、「恋愛をしている時間がもったいない」「彼とは体だけの割り切った関係」だと言い切りました。
出版社に勤めるアヤカの彼はバツイチで、結婚にはもうコリゴリだと言っている……。アヤカとは、価値観も体もよく合うのだそう。「お互い嫉妬はしない」「プライベートなことは話さない」などのルールを決め、それは恋愛感情を抱かないからこそできる関係なのだと力説しました。
「セックスには2種類あると思うの。快楽を求めるためにするセックスと、子供を作るためにするセックス」。
そして、相手を愛しているからこそ、その人としかセックスしたくないという私に向けて私にこうアドバイスしました。
「セックスと愛情って、必ずしも結び付かなくてもいいと思うよ」
見つけた「割り切る方法」
「セックスと愛情は別物でいい」
私は、セックスレスのまま、結婚してもいいのだろうか……。このまま一生彼とセックスできなかったとしたら……。
彼とのセックスレスは、3年目を迎えようとしています。
女性として満たされない気持ちを常に抱えながら生活する日々の中で、アヤカの言葉を、希望の灯火のように感じてしまう自分がいました。
「夫とのセックスは、子供を作るための行為と割り切り、他の人で、性的欲求を満たす」
こんな方法も、ひとつの性のかたちなのではないか。そんな考えが、次第に頭をよぎるようになったのです。
後編へ続く――
筆者プロフィール
愛媛県出身。恋愛ライターとして活動し、「Menjoy!」を中心に1000本以上のコラムを執筆。現在、Amazon Prime Videoで配信中の「バチェラー・ジャパン シーズン3」に参加。
【前回までの連載はコチラ】
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