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嗜好と趣味って何が違う?意外と知らない日本語の意味と使い方

槻谷岳大

槻谷岳大T.Tsukitani

目次

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1:嗜好とは?趣味との違いと類語、英語での言い方

まずは嗜好の意味について見ていきましょう。「嗜好」はそもそも、「嗜む(たしなむ)」=「このんで親しむ」や「愛好する」といった意味の語と、「好む」という語を組み合わせたものです。辞書をひくと、

しこう【嗜好】

ある物を特に好み、それに親しむこと。好み。主に飲食物についていう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

とあります。主に「嗜好品」という言い方で、食べ物や飲み物について使うことが多いようです。

嗜好品は栄養を摂取することを目的に口にするのではなく、楽しむため、刺激を得るため、ストレス解消のためなどに飲食するものです。

次に、「趣味」を辞書でひいてみると、

しゅみ【趣味】

1 仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。

2 どういうものに美しさやおもしろさを感じるかという、その人の感覚のあり方。好みの傾向。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

とあります。趣味はスポーツや音楽など飲食物以外のものや、感覚そのものなどの意味も含むようです。

また嗜好の類語として挙げられるのは、「好み」などです。「彼とは好み(嗜好)が合う」など、そのまま当てはめることもできますね。「偏向」も類義語として挙げることができるでしょう。

ちなみに嗜好を英語で表現すると、「taste」や「preference」などが当たります。「My taste for food(わたしの食の嗜好)」などと使うことができます。

2:嗜好に刺さる、嗜好を凝らす…「嗜好」の使い方とそれぞれの意味5つ

次に、嗜好を使った語句のご紹介とそれぞれの意味を見ていきます。

(1)嗜好に刺さる

強い衝撃を受ける、強く印象に残るなどのニュアンスで使われます。「刺さる」というだけあって、自分の嗜好にぴったりと合う、強い影響を受ける、などの意味になります。「音楽、なかでもロックは特に彼の嗜好に刺さった」などといいます。

(2)嗜好を持つ

「嗜好を持つ」は、「〇〇を好む」というニュアンスで使います。「彼女はファッションにおいて、独特の嗜好を持っている」などと使うことができます。

(3)嗜好に合う

「嗜好が合う」は、「好みが合う」という意味です。「彼とは嗜好が合う」とか、「この商品は日本人の嗜好に合った商品だったことがヒットに繋がった」などと使います。

(4)嗜好が変わる

好みが変わることを、「嗜好が変わる」と表現します。「若いころは肉好きだったが、年齢が上がるにつれて嗜好が変わり、菜食主義になった」などと使います。

(5)嗜好調査

主に食事についてのアンケートなどを「嗜好調査」と言うことがあります。多くは病院や介護施設などで、提供される食事について、おかずやみそ汁の味付けなど、それぞれの患者さんや利用者の好み(嗜好)を調査した上で、その後の献立の参考にしたりすることが多いようです。

(6)嗜好を凝らすは誤り?

「嗜好を凝らす」という用法を使う人がたまにいますが、「趣向を凝らす」が正しい言い方のようです。「より楽しくなるように、より風情が深くなるように工夫すること」といった意味です。「このシェフは趣向を凝らしたメニューで定評がある。」などの使い方をします。発音が似ているので混同しやすいですが注意しましょう。

3:コーヒーなど食べ物以外にもある?嗜好品の種類5つ

嗜好品には、どのようなものがあるのか見ていきます。

(1)酒類

ビールやワイン、焼酎やウイスキー。さまざまな種類のお酒は嗜好品の代表です。世界中に幾多の種類のお酒があふれていますね。それぞれが、その地域、その文化の象徴たる産品ではないかと思います。世界の歴史の中で、いろいろなお酒を人類が生み出してきたことこそ、まさに「嗜好品」が人類にとって欠かせないものである証左なのかもしれません。

(2)コーヒー

嗜好品の代表的なもののひとつはコーヒーです。淹れたてのコーヒーの湯気やほのかな香りがクセになって、止められない人も多いのではないでしょうか。朝の目覚めから、午後の食後、深夜の残業のお供まで、コーヒーは現代人の強い味方ですが、栄養のために飲むのではなく、その風味や刺激を楽しむために口にする人がほとんどでしょう。まさに嗜好品の代表的なものです。

(3)お茶

お茶も嗜好品の一種です。紅茶、緑茶、麦茶など、世の中にはさまざまな種類のお茶があふれています。お茶も生命の維持のために必要不可欠なものでは決してありませんが、日本人は「お茶でも飲んでいって下さい」など、接客の必須品としても馴染み深いですし、また茶道という芸術にまで発展させた国民でもあります。ひとつの文化と言えるでしょう。

(4)チューインガム

チューインガムも嗜好品のひとつです。噛んでいるだけで最終的に口から吐き出すチューインガムは、まさに生命維持のためではなく、口に広がる風味や食感を楽しむための、まさに嗜好品と言えるでしょう。口臭予防や歯周病対策、最近では顔の筋肉の動きを利用してフェイスアップ効果があるとされるものなど、さまざまな種類があります。

(5)たばこ・アイコス

たばこも昔からある嗜好品のひとつです。最近では健康志向や増税の影響などもあり喫煙者は減少傾向ですが、アイコスに代えて楽しむ人が増えたり、まだまだ嗜好品として愛用する人は多いようです。

4:まとめ

一見同じように聞こえる「嗜好」と「趣味」も、その意味合いは違うことがわかったと思います。また嗜好は人間が生きていく中でとても大事な楽しみの要素であることも理解できましたよね。

正しい言葉の意味を知ってからだと、さまざまな嗜好品も、さらに味わい深く楽しんでいきたいものですよね。