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「大丈夫です」は敬語じゃない?ビジネスで使える言い換え表現5選

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

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1:「大丈夫です」は敬語じゃない?

「大丈夫」という言葉は、もともと中国語で、立派な成人男性を指したもので、立派な男性がいれば「安心」「確か」であるということから、「安心なさま」「確かなさま」という意味で使われるようになりました。

ただし現在では、こうした本来の意味だけではなく、「何かお手伝いしますか」「大丈夫です」というように、物事を断るときの表現としても使用されます。辞書にも補説として、以下のように説明されています。

近年、形容動詞の「大丈夫」を、必要または不要、可または不可、諾または否の意で相手に問いかける、あるいは答える用法が増えている。

出典:小学館デジタル大辞泉

しかし、この「大丈夫です」という言葉、ビジネスシーンで使う際は注意が必要でしょう。この言葉の基準は「自分」であり、「相手」を基準に考えるビジネスの場ではふさわしくないからです。また、お断りの表現の場合、上から目線を感じさせるので、その意味でも好ましくないでしょう。つまり、「大丈夫」とは敬語ではない表現なのです。

2:「大丈夫です」の言い換え表現5選

(1)問題ありません

相手の問い合わせに対して、「構わない」「問題はない」という際に、友人などに対しては「大丈夫、大丈夫」といった感じで答えるでしょう。しかし、ビジネスシーンにおいて「大丈夫です」は避けましょう。相手が目上の人の場合、「問題ありません」「問題ございません」とするのが無難な表現です。

(2)結構です

例えば、肌寒いときに「ブランケットはいかがですか?」とすすめされたとします。しかし、すぐその場を離れる場合には、「大丈夫です」と言いたくなりますよね。でもこれって、あいまいな表現のように思いませんか? なぜなら「大丈夫」には、肯定と否定の両方の意味が含まれるためです。

明確に「お断り」を伝えるには、「結構です」、あるいは「要りません」とはっきり断ったほうが、意思は伝わるでしょう。ただし、少しトゲトゲしさも感じますので、目上の方に対しては「遠慮させていただきます」などのほうがベターです。

(3)かしこまりました

「それで大丈夫です」というフレーズは、物事に対してOKと思ったときに使う表現。「OKです」「了解です」も使えますが、これらは軽すぎるため、目上に対しては「かしこまりました」「承知しました」と言うのがいいでしょう。

(4)差支えありません

相手の質問に肯定的な返事をするときに「大丈夫です」とよく言いますが、これを別に置き換えると「いいですよ」「構いません」となります。例えば「お時間いたけますか?」に対して「いいですよ」といった感じです。これをビジネスシーンでは「差支えありません」「支障ありません」とていねいな言葉に置き換えることができます。

(5)できかねます

否定的に言う場合、「大丈夫じゃありません」などとよく言いますが、ビジネスの場や目上の人に対して使うのはもちろんNG。「できかねます」が適切な表現です。また、「わかりません」という意味で「大丈夫ではないです」という表現もしばしば使われますが、これも「存じ上げません」と、ていねいな言い方に置き換えます。

3:「大丈夫です」を英語でていねいに伝える方法

英語の場合、「大丈夫です」でも、肯定的な意味と否定的な意味と、それぞれ訳し方が異なりますので注意しましょう。

まず、「問題ありません」のニュアンスの場合は以下のようになります。

No problem.

It’s not a problem at all.

That’s fine./I’m fine.

一方、断るときの「大丈夫です」は、以下のようになります。

I’m good. Thanks.

Don’t worry about that.

これらの表現を、適切に使い分けましょう。

4:まとめ

日本語には、同じ言葉で別の意味を示すものが少なくありません。「大丈夫」は正反対の意味をもつ言葉で、状況によっては誤解を生まないとも限らないでしょう。より明確にニュアンスを相手に伝える場合、別の言葉に置き換えるほうが良いと思います。