掲載
40代で転職が厳しい理由とは?成功する人の共通点と後悔しないコツ
水野 文也F.Mizuno
1:40代の転職は厳しい?
転職を重ねた人に話を聞くと、20代、30代のころは比較的スムーズに転職ができたのが、40代になると一気に厳しくなったという話を聞きます。
企業はできれば若い人材を……と考えているケースが多く、表面的には年齢不問と募集しながら、40代の転職は厳しいのが現実ではないでしょうか。
実は、職種を選びさえしなければ、人手が恒常的に不足している業界もあり、それほど困難ではありません。そう、いまの生活水準を維持したい、あるいはキャリアを活かそうと考えるから難しく感じるのです。
2:40代の転職が厳しいといわれる理由5つ
(1)企業が求めるのは若さ
20代、30代であれば、潜在能力に着目したポテンシャル採用があります。どんな仕事でもイチから始めれば、完全に戦力となるのに数年はかかるもの。定年までの時間を考えれば、育てるという意味でも、企業が若さを求めるのは当然と言えるでしょう。
年齢が上がると扱いにくいというイメージがあり、企業にとってはキャンバスは白いほどいいのです。
(2)給与の高さがネック
年功序列の色彩が強く、給与体系が固定的な企業であれば、年齢が上がれば、その分、給与が高くなります。
当然、40代になれば、役職に就いていなくても基本給は上がっており、基本給が低い20代、30代のほうが採用しやすいと言えるでしょう。能力はもちろん考えますが、同時に企業はコストも重視します。
(3)求める専門性のハードルが高い
40代以上であっても、極めて高い専門性を有しており、企業が必要不可欠な人材と思えば採用するケースがあります。ただし、そのスキルについては、企業が求めるハードルが高く、生半可な実力では太刀打ちできません。
逆に、そうした人物に対しては、企業のほうからヘッドハンティングに動くでしょう。
(4)雇用のミスマッチ
よく言われるのが雇用のミスマッチ。つまり、企業がほしい職能と、転職者が売り込みたい職能が異なるため、極端に人手不足の業界がある一方で、余剰人員を抱える業界もあり、混在しているのが現状です。
技術の進歩、社会構造の変革で、40代以上が培ってきたスキルを企業が求めていないケースが多いことも難しくする要因と言えるでしょう。
(5)卓越したマネジメントが必要
企業が求めるのは専門性だけではありません。専門性が高い分野でない場合、管理職を求めるケースが多く、そこでは卓越したマネジメント能力が求められることになります。
こうした人材は何人も必要ではないため、年収、職階を考えた場合、転職市場自体が小さいと言えるかもしれません。
3:40代で転職に成功する人の共通点3つ
(1)何でも受け入れる度量がある
そもそも能力は不可欠ですので、スキルは成功の要因にはなりません。コミュニケーション能力も年代に関わらず必須。40代以上で求められるのは、度量の大きさではないでしょうか。
新興企業の場合、男女に関わらず、おそらく上司が年下になると思われます。主張することも重要ですが、年下でも相手を立てる気構えが必要でしょう。
(2)過去に囚われずゼロから始める
これも年代に関係なく重要ですが、過去に囚われずゼロから始めるという気持ちが必要です。専門性と実績は関係ありません。
これまでの実績は、専門性を裏づける担保のようなもの。新しい会社では実績ゼロというのを忘れないようにしたいものです。特に、実績が多い40代以上はそれを忘れないでください。「前の会社では」はタブーです。
(3)自分の専門性、得意分野を武器に転職
実績を忘れろ。これは、あくまでも気構えの話で、転職先が期待するのは実績に裏づけられた専門性、経験であるのは間違いありません。
逆に、これまでとまったく関係ない分野の仕事では苦戦が予想されるので、その点を踏まえて転職するべきです。ただ、前の会社で経理の経験豊富で、まったく異なる業種で経理に携わるというケースはアリでしょう。
4:40代で後悔しない転職をするコツ3つ
(1)何を求めるかを明確にする
40代になると、ライフスタイルが確立されていると思われます。夢を追い続ける、やりたいことをしたい……それらは悪いことではありませんが、現実的ではないのではないでしょうか。
仕事のやりがいと収入のバランス、社内における将来性、生活設計、等々を十分考慮した上で、仕事の内容、勤務条件年収など何を求めるか明確にします。
(2)アピールする内容を整理する
転職は、ある意味、これまで培ってきたキャリアの総決算。当然、転職先では、社会人になってから鍛えた自分の力をぶつけるわけですから、たとえてみれば「キャリアの棚卸」と言ってもいいかもしれません。
若手と違って積んできたモノの量が多いので、活かせると思ったアピールを整理。それにより、転職先で活躍できるかどうか見えるかもしれません。
(3)生活基盤を見つめ直す
転職で環境が変わると生活に影響を及ぼします。よくならないまでも悪化しないかを判断するために生活基盤を見つめ直しましょう。
女性の場合、40代女性は子育て現役真っ盛りの人が多く、たとえば、パートナーの協力を得られるかなど、キャリアとライフスタイルのバランスをとれるか慎重に考えてください。家庭が壊れる転職は本末転倒です。
5:まとめ
転職でもっともスムーズに進み、成功に導けるのは、専門性を活かすことに尽きると思います。若いうちに、将来のステップアップを考えて、より専門的な知識を身につけるか、社内でそれが叶わないのであれば、資格を取得するなど、スキルを磨いてください。
筆者自身の経験を書くと、記者時代の30代半ばに転職、そして、40代後半に政治家に転身しました。若手記者時代、経済関係が中心だったので、経済の専門記者として転職、議員になったあとは主に経済分野の政策にとり組みました。若いときから積んできたキャリアが活かせたと思っています。
そして、いま、この『MENJOY!』の記事を執筆しているのも、長い間、書く仕事をしてきたことが大きいのは言うまでもありません。
一方、専門性は乏しいと感じても、社内で重要なポジションを数多く経験していれば、勤務先の会社そのものの専門性が高いと言えるでしょう。そうした場合、無理に転職を考えず、少しでも高いポストを目指したほうがいいと思います。もっとも、そんな人は転職など考えないでしょうけど。