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教育費はいくら貯める?大学までの教育費の平均と教育費贈与税・無償化について
水野 文也F.Mizuno
目次
隠す1:教育費とは?英語で言うと?
教育費といっても、大きくはふたつの意味があります。ひとつは国や地方公共団体が教育活動をするための費用、もうひとつは、子どもの教育のために個人が負担する費用となりますが、身近な話題となるのは後者でしょう。
文部科学省では、統計などで、家計の中において教育費に充てられる費用を、授業料や通学費などの「学校教育費」と、習い事のための支出や学習塾費など「学校外活動費」に分けています。
ちなみに英語で「教育費」を表現するときは、教育にかかる費用ということで、いちばん広い意味で使われるのが「educational expenses」。また学費は「school expenses」と表します。
2:大学までの教育費の平均は?大学進学までにいくら貯めるべき?
(1)とにかくお金がかかる教育費
ハッキリいって、教育費はお金がかかります。昔なら「子どもは丁稚奉公に」「学校に行くより花嫁修業を優先」だったのでしょうけど、今の世の中は学歴社会。親が子どもの教育にお金をかけたいと思うのは自然でしょう。
次項で、平均値を目安として記しましたが、それを見ると、「子どもはたくさん欲しい」と思っても、教育費を考えれば諦めなければならないこともあるでしょう。高い教育費が少子化の原因のひとつといえるかもしれません。
(2)高校まですべて公立でも500万円以上!
文部科学省がまとめた、平成28年度「子供の学習費調査」を見ると、とても教育にはお金がかかることがわかります。幼稚園から高校までの教育費(学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計)の平均値を見ると、そのことがよく理解できるでしょう。
ケースごとに、合計額(幼稚園3年間、小学校6年間、中・高校各3年間)を以下にまとめてみました。
すべて公立に通わせた場合・・・540万円
高校のみ私立に通わせた場合・・・719万円
小学校のみ公立に通わせた場合・・・1,050万円
すべて私立に通わせた場合・・・1,770万円
(3)大学はいくらかかるの?
文科省の統計は、高校までの費用で、これに大学のぶんが加わります。
大学に関しては、日本政策金融公庫がまとめた「平成30年度教育費負担の実態調査結果」を見てみましょう。その平均値は、高校の入学費用が31.9万円、在学費用が年間68.5万円なのに対して、大学は入学費用が88.4万円 在学費用が156.9万円となります。
高校と比較しても、大学の費用が高いことがわかります。これは国公立、私立、文系、理系の合計の平均値ですので、私立に通学した場合は、より高くなるのは言うまでもありません。
ちなみに、私立理系の場合、在学費用が185.3万円。これが4年分かかるので、入学費用を含めると800万円以上になります。
(4)いくら貯めればいい?
「エンジニアになるため、私立理系を目指す!」と子どもが言ったら、用意する金額は800万円以上は必要ににります。文系・理系の違いはありますし、国公立に行けば多少は安くなりますが、大学だけでも最低500万円は用意しておきたいものです。
子どもが小さい場合、オール公立、国立でも子ども1人につき12年間で1000万円は必要になる想定をしておきましょう。ただ、世の中の流れは、教育費無償化に向かっていますので、この想定額は将来、多少は少なくなるかもしれません。
それでも、まとまったお金が必要になるのは間違いないので、早いうちから備えておきましょう。
3:教育費の無償化ってどんな制度?
教育費の無償化が、制度として整いつつあります。大きく、3つに分かれますので、それぞれについて見てみましょう。
(1)幼保無償化
幼稚園・認可保育所・認定こども園、認可外保育施設などに通う「保育の必要性の認定」を受けた子どもが対象で、2019年10月、消費税率のアップと同時にスタートしました。また幼稚園では、月額2万5700円を上限に、補助されます。ただ、幼児教育の給食費については、無償化後も負担するのが一般的です。
(2)私立高校の授業料無償化
私立公立問わず、国立・定時制・通信制などを除いた支給対象高等学校では、今までも年収約910万円未満の世帯には、公立高校授業料相当分(年間11万8800円)の「就学支援金」が助成されていました。
また2020年4月からは、年収約590万円未満の世帯を対象に、就学支援金の上限を私立高校授業料(約40万円)を勘案した水準に引き上げられます。
(3)高等教育無償化
大学や専門学校などの高等教育機関で学ぶ、所得が低い世帯の学生を対象に、「授業料等減免の拡充」と「給付型奨学金(返済不要)の大幅増額」が、20年4月から実施されます。給付型奨学金は最大で、年あたり約91万円、減免は最大で約70万円になります。対象は住民税非課税世帯と、それに準じる世帯の学生で、新入学生だけではなく、在学生も対象となります。
4:教育費の贈与とは?かかる税金はある?
(1)教育費の贈与、実は無税?
国税庁のホームページには、贈与税がかからない例のひとつとして、以下のように書かれています。
「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」
フツーに考えれば、子どもの学費って、親が出すケースが大半ですよね。
ただし、教育費の名目で贈与したお金について「預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかる」と書かれています。
(2)1500万円まで無税!
おじいちゃんやおばあちゃんが、学費を出す場合などは、教育資金贈与の非課税特例を活用します。
この制度では、祖父母等から30歳未満の孫や子への教育資金の贈与について、子や孫ひとりにつき1,500万円(種類によっては500万円)を限度として贈与税が非課税に! 本来なら年間110万円以上の贈与については贈与税がかかるので、これは大きいですね。
一括贈与ができるのがありがたいところですが、毎年申告が必要になるなど、使い勝手が悪いという声もありました。
5:教育費貧乏という人も!実態がわかるブログをご紹介
教育費に悩んでいるのは、あなただけではありません。今回は、教育費貧乏ブログをふたつご紹介します。
(1)浪費主婦デヴィの日常を整える
デヴィさんが綴るこのブログは、マイホームを購入し、外車を所有し、子どもはお受験用の塾に……と優雅な生活に見えていたものの、旦那さんのお給料が減るなどして、貧乏生活に……。その生活の変化について、自虐を交えた形でリアルに語られています。思わずクスっと笑える話もあり、同じ悩みを持つ人たちは共感できるのではないでしょうか。
(2)dotty母のブログ
dotty母さんのブログは、「息子が東大に合格した教育費貧乏にあえぐ母のブログ」という説明のとおり、大学受験における教育関連のことや節約術について、その体験をベース綴られています。家族で行く貧乏旅行などの記事もあり、教育費に悩む人向けに、暮らし全般の情報が詰まっています。
6:まとめ
筆者自身も、長男が誕生したとき、「お金がかかるので、こいつは将来、丁稚奉公だ!」と言ったら妻に叱られました。それから22年が経ち、現在は大学4年生に。やっと片づいたと思ったら「社会人になってから資格取るために学校通うので、その費用を出せ!」ですって。もう、やってられません(涙)。
【参考】