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別居がプラスに働くのはどんなとき?夫婦が別居することのメリットと注意点
大山奏K.Ohyama
目次
隠す1:別居したいのはどんなとき?
結婚生活を続けていく中で、お互いの価値観の違いが顕著になれば、離婚を考えるようになることも。その前段階として、別居が選択肢にあがる夫婦もいるでしょう。
また、離婚までは考えていないけれど、一緒に暮らしていくのが精神的につらいときや、パートナーがまったく家事や育児を手伝ってくれないため、サポートを求めて実家に帰ろうかと考えるときなども、別居が頭をよぎるタイミングなのではないでしょうか。
では、別居を選ぶことによって、どんな未来が待っているのでしょう。
2:離婚しないで別居することによるメリット5つ
(1)お互いに頭を冷やせる
「もうあなたとは一緒にやっていけない!」とお互いにヒートアップしている状態では、とても冷静な判断ができるとはいえません。ケンカをした相手から、物理的に距離を置くことで、頭を冷やして考える時間をもつことができるようになります。
(2)精神的・肉体的負担が減る
一度嫌いになってしまった相手と同じ空間にいるというのは、かなり心が疲弊するもの。一緒に暮らすこと自体に苦痛を感じている場合には、まずは別居することで、その精神的な負担を減らせるでしょう。
また、まったく家事を手伝ってくれないパートナーのために料理をつくったり、洗濯や掃除をしたりする必要がなくなるので、肉体的にも楽になるかもしれません。
(3)離婚がしやすくなる
一概に何年間別居をすれば離婚の要件に入るかというのはいえませんが、将来的に離婚を考えている場合は、別居をしておくことで、離婚の話が通りやすくなります。そのため、いきなり離婚ではなく、まずは別居を選ぶ夫婦も多いようです。
(4)離婚後の生活をシミュレーションしやすい
別居を始めてみると、離婚後の生活を疑似体験することができます。部屋を借りるお金など、一緒に暮らしていたときよりも生活費がかかることがわかるでしょう。
また、ふたり暮らしからひとり暮らしになったからといって、住居費以外のすべての生活費が半分になるわけでもありません。離婚してもお金の面で問題がないのかを確かめるためのアクションにもなるでしょう。
(5)子供への影響が少ない
まだ子供が小さい場合、いきなり両親が離婚するというのは、精神的なショックが大きくなります。その前に、別居というワンクッションを置くと、子供もゆっくりと両親の関係を理解していくことができるでしょう。
3:離婚前提で別居。する前にやるべきことと注意点3つ
(1)お金についての話し合いをする
離婚を前提にするにしてもしないにしても、お金についての話し合いはしておく必要があります。別居したとしても、夫婦には生活費を分担する義務があるからです。
別居してから、どちらかが生活していけなくなったりしないように、収入の少ないほうがいくらもらうのか、などを決めておきましょう。ここで決めた内容は、文書としてきちんと形に残すことも忘れてはいけません。
(2)郵便物の転送、住民票を移動する
別居をして住んでいる家から出ていく場合、郵便局に郵便物の転送届を出しておきましょう。そうしなければ、毎月の請求書などを元の家にとりに行かなければならなくなります。
また新しく住む場所への住民票の移動も必要になるでしょう。
(3)別居する期間を決める
別居を始めて落ち着くと、そのまま離婚をせずにダラダラと別居生活を続けてしまうことがあります。ですが、それはお互いにとってよくありません。
別居を始める前には、どのくらいの期間別居してみるのか、次の話し合いをいつ持つのか、などを決めておきましょう。そうすることで、一定期間別居しても効果がなかったときに、離婚の話し合いに進みやすくなります。
4:離婚しないで別居。する前にやるべきこと注意点3つ
(1)仕事や収入の確保
離婚する気はないけれど、とりあえず別居をしたいという軽い気持ちで別居をしてしまうと、お金の面で大変な状況になってしまうかもしれません。
感情的に別居を選ぶのは危険です。今の収入で生活は大丈夫かを計算してみたり、新しく住む家の家賃相場などを調べたりして、金銭的に問題がないかどうかを確認する必要があるでしょう。
(2)なぜ別居するのかの話し合い
ただ一緒に暮らしたくないからといって、何も知らせずに家を出てしまうと、大きな問題に発展しかねません。頭を冷やすだけのつもりが、離婚を迫られたり、何かの事件に巻き込まれたのかもと勘違いされたりして、警察沙汰になることも考えられます。
別居したい相手ですから、話し合う時間も嫌かもしれません。ですが、そこは大人としてきちんと責任を果たしましょう。
(3)住民票は移動しない
離婚をする気がない別居の場合に、住民票を移動すると面倒になってくることがたくさんあります。例えば、夫の扶養家族から外れてしまったり、子供の学区が変わってしまったり……。
一定期間別居をしても、後々元に戻るつもりなら、住民票の移動は一旦保留にしましょう。
5:別居したあとどうする?その後のケース3つ
(1)お互いに考え直して元に戻る
別居を始めたときには離婚が前提だったとしても、しばらく離れて暮らしてみたら、お互いに相手の気持ちに再度気づけたということもあるでしょう。
そういう場合には、夫婦で話し合ったあと、また一緒に暮らすのがいちばんでしょう。別居した夫婦のもっとも円満なケースです。
(2)気持ちが変わらず協議離婚
別居を続けてみたけれど、やっぱり気持ちが冷めているので離婚、となるケースも多いはず。お互いに同じ気持ちになっているのなら、話し合いで解決する協議離婚を選ぶことになります。
協議離婚には特に費用もかからないので、離婚届を提出して受理されればそれで終わりです。ただし協議離婚の場合でも、離婚前に子供の養育費や慰謝料、財産分与などについてはしっかりと話し合っておく必要があります。
(3)別居のまま
別居のまま離婚もしない状態を続ける夫婦も少なからずいます。これは別居でお互いに不満を感じていない場合です。
例えば、別居をするまで専業主婦だった妻が、別居に際して夫からお金を受けとると約束したとしましょう。妻は別居ができたうえに、毎月夫から生活費ももらえるため、離婚するよりもメリットが大きいと感じることもあるようです。
ただ、このような場合には、夫のほうが離婚を望んで、家庭裁判所に申し立てが必要な調停離婚を選ぶケースが多いでしょう。
6:子供への影響は?別居のデメリット3つ
(1)相手から離婚請求される可能性がある
自分は離婚する気はなかったのに、別居をしてしばらく経ってから相手に離婚を請求される可能性があります。この場合、相手の気持ちは固まっているでしょうから、もう一度やり直したいといっても受け入れてもらえる確率はかなり低くなるでしょう。
(2)浮気などがわかりにくくなる
別居をすると、相手の浮気などの発見がしづらくなるというデメリットもあります。一緒に住んでいて浮気をされたのであれば、自分に有利に離婚を進めることができるため、浮気・不倫を理由に離婚したいのであれば、別居はせずに証拠集めを頑張ったほうがいいでしょう。
(3)子供の精神面に影響を与える
先ほど、離婚の前に別居をするメリットで、急に離婚をするよりも子供の精神的なショックを減らせるとお話をしました。ですが、やはり別居するとなると、子供なりに考えることもあるでしょうし、環境も変化してしまいます。
環境の変化は精神的にストレスになるので、子供にとってはあまり良いことだとはいえません。
7:別居したときの生活費や養育費は?知っておくべきお金のルール
別居をしてもまだ離婚をしていないのであれば、生活費を分担するという義務が生じています。ですから、お互いに助け合って、どちらかがお金に困らないようにする必要があります。
また子供を連れて家を出る場合、養育費も相手側に請求することができます。このあたりを知らずにいると、ただただ金銭的に大変になってしまうので、別居の前には一度専門家に相談をしてみるのがいいでしょう。
8:別居はプラス?マイナス?
離婚をするにしてもしないにしても、別居してみるというのはいいことなのでしょうか? 正直、どちらが正解ともいえません。
別居がよい方向に働くかどうかは、当人の気持ち次第です。ですが、実際に別居を選ぶのであれば、その先に待っているどんな未来も受け入れるくらいの覚悟はもっておいたほうがよさそうです。