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ワインのアルコール度数の違いはなぜ生まれる?適量と飲み方のコツ
水野 文也F.Mizuno
目次
隠す1:ワインのアルコール度数ってどのくらい?
ひと言でワインいっても、種類が多くアルコール度数もまちまち。赤、白、ロゼによって異なりますが、一般的には9~15%程度。日本酒と同じくらいでしょうか。シャンパンは11~12%、甘口のスパークリングですと5〜8%程度、ポートワインやシェリーなど酒精強化ワインといわれるものは少し強めで15~22%ぐらいです。
ちなみに、厚生労働省では、一般的なワインのアルコール度数を12%目安としているので、話のネタとして使う場合は、12%程度とするのがいいでしょう。
2:白ワインと赤ワインのアルコール度数の違い
ワインのアルコール度数は、種類によって差があると記しましたが、飲む機会が最も多い赤白ワインは度数が違うのでしょうか。
一般的に、白ワインは9~14%、赤ワインは11~15%が目安となり、白ワインのほうがアルコール度数が低めとなっています。ただ、これはあくまでも目安。造り手によって、度数が低い赤ワインや逆のケースもあり、一概にはいえません。法的には、アルコール度数は必ずラベルに記載されることになっているので、度数を調べてから購入しましょう。
ワインの度数に差が生じるのは、ブドウの糖度や製造工程が関係します。天候がよい年のブドウは、糖度が高く育つため度数が高めになり、長期熟成に向くとか。そう考えると、ブドウの収穫年によってワインの価値が異なるのも納得できますね。
一方、赤ワインはブドウの糖分を最後まで発酵させ、白ワインは発酵を途中で止めることが多く、これもアルコール度数に差が出る理由として考えられます。
3:適切な摂取量は?ワインのアルコール量と酔いの状態
アルコール度数がわかったところで、適切な摂取量を考えてみましょう。以下に、飲んだ量によって、酔い方はどうなるかを示してみました。
なお、酒豪といわれる人、下戸に近い人で酔い方は千差万別。そこで、人間の体はアルコールを処理する量が、1時間で体重1kg当たり0.1gという、ごく平均的なデータをもとに考えました。体重が50㎏の人は1時間で処理できるのは5g、飲む量は一般的なワイングラス(1杯120ml程度)で考えます。
また、厚生労働省のサイトに載っていたアルコール換算量の目安にして、ワイングラス1杯につきアルコール度数は12%、純アルコール量は12gとします。
(1)1~2杯(12~24g)
気分が爽快になります。判断力が若干落ちる程度で、もちろん正気。厚生労働省では純アルコール量20gを「節度ある適度な飲酒」としており、これで満足できるなら“優等生”という感じでしょうか。ワイン1杯なら2時間ちょっとでアルコールが抜ける計算になります。
(2)4~6杯(48~72g)
3~4杯なら、ほろ酔い気分になりますが、それを超えてくると、ひと言で「酔った」という状態になります。5~6杯だと、ボトル1本に達する量なので、高級ワインでこんな飲み方はできませんよね。気が大きくなり、声も大きくなってきます。
(3)10杯程度(約120g)
すでに、酩酊といわれる状態になり、いわゆる千鳥足となるのも、このレベル。15杯くらいになると、意識の混濁し言葉が支離滅裂になり、まともに立てなくなってきます。20杯に達すると、揺すっても起きず、場合によっては、生命の危険も生じてきます。ほろ酔い以降は要注意といった感じでしょうか。
(4)酩酊には6段階ある?
参考までに、ワインに限らず、飲酒した際の酩酊について、厚生労働省の「e-ヘルスネット」に掲載されている内容を記しましたので、参考にしてください。
・爽快期(血中アルコール濃度20~40mg/dl)
症状:陽気になる、皮膚が赤くなる
・ほろ酔い期(血中アルコール濃度50~100mg/dl)
症状:ほろ酔い気分、手の動きが活発になる
・酩酊初期(血中アルコール濃度110~150mg/dl)
症状:気が大きくなる、立てばふらつく
・酩酊極期(血中アルコール濃度160~300mg/dl)
症状:何度も同じことをしゃべる、千鳥足
・泥酔期(血中アルコール濃度310~400mg/dl)
症状:意識がはっきりしない、立てない
・昏睡期(血中アルコール濃度410mg/dl以上)
症状:揺り起こしても起きない、呼吸抑制から死亡に至る
4:日本酒やチューハイは?お酒の特徴とアルコール度数一覧
アルコール度数の一覧を示す前に、そもそもアルコール度数の定義から、おさらいしてみましょう。アルコールの度数とは、温度15度のときに原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量のこと。これは酒税法によって定められていますが、海外でも標準的な基準となっています。ちなみに、表記に関し度も%も同じ。10度=10%と考えて下さい。
もうひとつ、お酒の特徴として、製造方法によって「醸造酒」と「蒸留酒」の大きくふたつに分かれることを知っておきましょう。さらには、両者をベースに甘味料や香料を加えた「混成酒」も。梅酒やリキュールなどがわかりやすい例ですね。
「醸造酒」は原料に酵母を加えアルコール発酵させて生成する酒、「蒸留酒」は原料を発酵させた後に蒸留という工程を経て生成する酒のこと。「蒸留酒」は、水とアルコールの沸点(100度と約78度)の差によってアルコールが凝縮されるため、度数が「醸造酒」に比べて高くなります。ワインは「醸造酒」に属します。
(1)一般的な「醸造酒」の度数
ビール 4〜5%前後
マッコリ 6〜8%前後
ワイン 9〜15%
日本酒 10〜17%
紹興酒 16〜17%
(2)一般的な「蒸留酒」の度数
焼酎 20or25% (甲類〜36%未満、乙類〜45%以下)
泡盛 25or30% (古酒 43%前後)
ブランデー 40〜50%
バーボン 40〜45%
テキーラ 35〜55%
ウイスキー 40%~
ジン 40%~50%
ラム 40%~
ウォッカ 40%~
(3)チューハイは何度なの?
チューハイは、お酒としての明確な定義はありません。基本となるのは「蒸留酒」をベースに炭酸水、フレーバーで割った一種のカクテル。一般的には、焼酎をベースに作ったイメージが強いですが、市販されている缶チューハイの多くはウォッカをベースにしたものだそう。
また、炭酸水で割った人気のお酒としてはウイスキーをベースにした、ハイボールもおなじみでしょう。
チューハイのアルコール度数は、大半が10%未満。それには理由があって、アルコール度数が10%未満だと酒税が安いのです。そのため、度数が9%程度の「ストロング系」と呼ばれるチューハイが売れ筋となっています。
(4)お酒というより、これって、ほとんどアルコールじゃない!?
新型コロナウイルス感染拡大で、消毒用アルコールが品薄になった際、アルコール度数が高いお酒が、消毒液代わりに使われたという話があります。
世界には、ほとんど純粋なアルコールと変わらない、度数の高いものが少なくありません。ポーランドのウォッカ「スピリタス」というお酒の度数は96%!
蒸留を70回以上繰り返して製造するこのお酒は、世界最強の酒ともいわれています。ポーランドでは「スピリタス」をはじめ、ウォッカを消毒や感染症予防に使う習慣もあるそうです。水で薄めたアルコールより効き目がありそうですね。
5:二日酔いを防ぐワインの飲み方
もちろん、好みもありますが、酔いを少しでも抑えたいのであれば、同じ量でアルコール摂取量が少なくなる、白ワイン、スパークリングワインを飲むようにしましょう。
さらに、アルコールには利尿作用があり、分解にも水分が必要になりますので、少し飲みすぎたと感じた場合、水分を多くとるなど脱水症状を防止するのがコツ。これによって二日酔いを防ぐ、あるいは軽くすることができます。飲んでいるとき、チェイサーとして水も一緒に飲むのがいいかもしれません。
いずれにしても、適量といわれるグラス1~2杯で止めておくのがいいでしょう。どんな酒でも、飲みすぎは二日酔いにつながるのは変わりません。
6:まとめ
口当たりがいいので、ついつい飲んでしまうワイン。実は、ビールやチューハイのようにグビグビ飲んでしまうと、アルコール度数が高めなことから、翌日に二日酔いなんてことがよくあるのではないでしょうか。ただ、年代物の高級ワインであれば……。さすがに、そんな飲み方をする人は少ないと思います(笑)。
【参考】