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「弊社」は書き言葉でも使える?混乱しやすい当社・自社・小社・貴社・御社の使い方

松田優

松田優Y.Matsuda

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目次

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1:弊社の意味は?書き言葉でも使える?

弊社とは「自分の会社」をへりくだって言う際に使う謙譲語表現です。「弊」という漢字は「自分のことにつける謙称」であり、会社に限らず「弊宅=自分の家」などにも使うことができます。

主に社外の人とやりとりをする際に使い、話し言葉と書き言葉の区別はありません。書き言葉として使う場合は、「貨幣」の「幣」の字と間違えやすいので注意してくださいね。

2:弊社・当社・自社・小社の使い方のポイント3つ

「自分の会社」という意味を表す言葉は「弊社」だけではありません。ビジネスシーンで頻繁に登場する4つの表現を比べながら、それぞれの使い方のポイントをみていきましょう。

(1)当社と弊社の違い

「弊社」は謙譲語であるのに対し、「当社」は丁寧語。へりくだりの意味はなく、単に丁寧な言い回しというだけです。意味としては同じ「自分の会社」を表していても、言葉の性質が違うため使用する場面を見極めなければいけません。

社外の人など、自分を下げ相手を立てなければいけない場面では「弊社」を。社内でのプレゼンテーションなど、自分の会社を謙遜しなくてもよい場面では「当社」と、適宜使い分けましょう。

(2)自社とは?

「自社」も同じく「自分の会社」であることを意味しており、こちらもやや砕けた表現。社内の、同じ立場同士で使う言い回しです。「自社の商品」「自社の理念」といった使い方をされる場合が多いかもしれませんね。

(3)小社の使い方

「小社」とは、読んで字の如く「小さい会社」という意味の謙譲語表現です。へりくだりの意味としては弊社も小社も差はありませんが、最近では弊社を好んで使うケースがほとんど。

「小社」は「商社」と間違えやすいこと、大企業が「小社」と名乗ると慇懃な印象を与えてしまうことなどが要因のようです。

3:弊社・当社のメールでの使い方・例文3つ

オンラインでのやりとりが急増している今。「弊社」と「当社」をメールで使う際にはどのような点に注意すればいいのでしょう。

(1)弊社を使ったメール例

「●●様、この度は弊社の製品を御採用いただき誠にありがとうございます。使用方法など御不明な点がございましたら、再度御連絡頂ければと存じます。弊社の専属アドバイザーを派遣させて頂きます」

弊社を使う際には「弊社の●●」といった使い方をすることも多々あります。「弊社の連絡先」や「弊社の者」といった言い回しも自然です。

「弊社」という表現自体が謙遜の意味をもつことを意識して、ほかの文言もきちんと謙譲語表現になっているかどうか、見直すことも大切です。

(2)当社を使ったメール例

「この度は資料請求をしていただき誠にありがとうございます。当社おすすめ商品の一覧を送付させていだきます。是非ご検討ください」

「当社」は「弊社」よりもやや砕けた言葉です。あまり堅苦しくない内容の際に使いましょう。謝罪のメールを送る際などは、上から目線にもとられてしまいかねないので避けておいたほうが無難です。

(3)弊社・当社をメールで使う際の注意点

まず、ひとつのメール文のなかで「弊社」と「当社」が混在しないように注意しましょう。謙譲表現がぶれてしまい、煩雑な印象を与えてしまいます。必ず表現はどちらかひとつに統一しておきましょう。

また、弊社の「弊」の字は「幣」と間違えやすいため、うっかり凡ミスがないように気をつけたいものです。

4:間違えやすい!御社・貴社の使い方のポイント4つ

弊社や当社と対になっている表現といえば「御社」や「貴社」ですよね。「相手の会社」を表す敬語表現の正しい使い方もみていきましょう。

(1)御社は話し言葉、貴社は書き言葉として使う

弊社や当社には話し言葉、書き言葉の区別はありません。しかし御社と貴社は話し言葉と書き言葉で区別して使わなければなりません。

御社は話し言葉として会話のなかでのみ使用し、貴社は書き言葉としてメールや文書のなかでのみ使う言葉であると覚えておきましょう。

(2)「貴社」は口頭で意味が伝わりにくい

貴社が書き言葉として使うことが相応しいとされている理由は、「きしゃ」と発音する言葉が多く存在しているからといわれています。

例えば「記者」や「汽車」も「貴社」と発音が同じですよね。さらに「帰社」や「喜捨」などもあり、聞き手にとっては紛らわしい表現であることは確か。だからこそ、会話のなかではわかりやすく「御社」と使うべき、とされているのです。

(3)「様」はつけない

「貴社」や「御社」自体が敬語表現であるため、重ねて「様」をつける必要はありません。失礼のないよう配慮したつもりが、かえって慇懃な印象を与えてしまいます。

敬語に自信がない人ほど、陥りがちな過剰表現なので要注意です。

(4)一般企業以外はどのように表現する?

「社」という文字が入っていることからもわかるとおり、「貴社」や「御社」は、対一般企業に使うもの。銀行や学校の場合は、また違った表現になると覚えておきましょう。

銀行の場合は「貴行」「御行」、学校の場合は「貴校」「御校」となります。

5:まとめ

仕事上のやりとりで頻繁に出てくる表現でも、改めて意味を知ると「なるほど」と思うことも多いですよね。

正しい敬語表現を使いこなして、ビジネスマナーをワンラックアップさせていきましょう!