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お見えになるは二重敬語?知らないと恥をかく正しい使い方と言い換え表現

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:お見えになるの意味は?

「お見えになる」は「来る」の尊敬語になります。通常は、目上の人がこちらへ来るという場合に使うことが多く、「来た」ことを「姿が見えた」という表現にした言葉と言えるでしょう。

一方、「来る」という言葉の尊敬語は「来られる」ですが、敬意が感じられないので、ビジネスシーンではあまり使われません。

2:お見えになるは二重敬語?

「お見えになる」は慣用句としてそのまま使えます。それだけで「目上の人が来る」といった尊敬語になりますので、「お見えになられる」というように「なられる」を使うと二重敬語になり、慇懃無礼な表現になるので避けましょう。

また、「お見えいただく」「お見えになってください」という表現も間違った使い方になります。

3:お見えになるが使える場面・具体例3つ

(1)お客さまが来た場合

会社が主催する会合やパーティーなどで、自分が司会をしていて、お客さんが来たことを紹介する場合、「〇〇さんが来ました」では〇〇さんに対して失礼。お客さんに敬語を使うのは必須ですから「〇〇さんがお見えになりました」と紹介しましょう。

(2)社長や重役などが訪問して来た場合

例えば、自分が支店に勤務していて、社長や重役などが訪問してきた場合。自社の人間であっても、そこは敬意を表するのが当然。「社長が来たゾ」と同僚どうしで伝えることがあっても、支店内でのオフィシャルなアナウンスでは「社長がお見えになりました」と伝えましょう。

(3)上司に報告する場合

上司の留守中にお客さんが訪問することはよくあるケース。こうした場合の報告には「〇時に〇〇さんがお見えになりました」と言います。

外出中の上司に来訪を告げるときも、「〇〇さんがお見えになっています」と伝えましょう。相手が目の前にいる場合は、失礼になるので「〇〇さんが来ました」と言ってはいけません。

4:お見えになると言い換えられる類語表現

(1)いらっしゃる

「来る」のていねいな表現としては、「お見えになる」より「いらっしゃる」のほうが使用頻度は高いかもしれません。「入(い)らせらる」から来た言葉で、相手が複数の場合でも使用できます。

ただ、よりていねいなのは「お見えになる」で、ビジネスシーンにおいては、お客さんに対してこちらを使いましょう。

(2)お越しになる

「お見えになる」「いらっしゃる」が「来る」という意味であるのに対し、「お越しになる」は「赴く」や「足を運ぶ」といった間接的な意味も含まれます。相手に来てもらう場合は「お越しください」と表現するのが適切でしょう。

「いらしてください」とも言いますが、先に記したとおり「お見えになってください」とは言いません。

(3)おいでになる

「お見えになる」が「来る」の尊敬語であるのに対して、「おいでになる」は「来る」のほか「行く」「いる」などの尊敬語。使用範囲が広いと言えるでしょう。当然、自分はもちろんのこと、同僚など自分と同等の立場に人には使いません。

(4)こられる

「こられる」も「来る」の尊敬語表現ですが、話し言葉として言いにくさが感じられるほか、ビジネスシーンでは尊敬の念が薄く感じられるため、「お見えになる」「いらっしゃる」などを使うのが一般的です。

注意したいのは、いわゆる「ら」抜きの「これる」という表現。オフィシャルな場では「ら」抜き言葉は避けましょう。

(5)ご来訪くださる

「ご来訪くださる」 は「 来訪してくれる」をていねいにした表現。「来訪」自体が「人が訪ねてくること」を指す言葉。「ご来訪くださりありがとうございました」は、メールで訪問に対する感謝の意を伝えるときの定番フレーズになります。

「ご来訪いただき」は「来訪してもらう」の意がありますが、「ご来訪くださる」と大きな違いはありません。

5:まとめ

例によって、敬語として使用される慣用句シリーズですが、誤った使い方をすると、恥をかくだけではなく、ビジネスにおいて失点にならないとも限らないので、しっかりマスターしておきましょう。

普段の会話で「ら」抜き言葉を使っている人は、ビジネスシーンでは「ら」を抜かないように気をつけて下さい。