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クーラーや暖房代を節約したい…エアコンの電気代節約術と省エネエアコン
三浦 希枝K.Miura
1:エアコンの電気代を節約したい!
快適な住居環境をつくってくれるエアコンですが、月々の電気代の何割を占めているか気になりますし、そもそも電気代を節約したいですよね。
最近の家電には「省エネ基準達成率」という、その家電製品の省エネ性能をパーセンテージ化して表した数値が値札とともに記載されています。
さらにエアコンに関しては、APF(通年エネルギー消費効率)という値が、どれくらい電気を効率よく使えているかを表しています。これが高ければ高いほど、省エネ性能は高いとされています。
この数値は各メーカーの製品ページでも表示されているので、節電・節約を考えている方は注目すべきポイントとして押さえておきましょう。
では次からは具体的な電気代の計算方法などをご紹介します。
(1)エアコンの電気代は設定温度によっても違う?
経産省の2011年の調査によると、一般家庭でのエアコンの電気使用量は全体の7.4%となっています。東京都の2014年の調査では、照明器具、冷蔵庫についで第3位の12.8%です。また、「一般財団法人 日本原子力文化財団」の資料には、約30%というの数字もみられます。
そんなエアコンですが、室内外の空気の温度によって消費電力が変化するため、電力使用量は一定ではありません。
夏場だと外気温が最も高いとされる昼12時から15時の間が最も出力が高いといわれています。この時間帯のエアコンは、高い出力で室内機と室外機の間で熱を循環させ、設定した温度になった時点で消費電力が下がります。
環境省「みんなで節電アクション!」よると、夏の冷房をつけているときに1℃温度を高くするだけで約13%の消費電力が削減されるといわれています。また、冬の暖房をつけているときであれば、1℃低くすると約10%消費電力を削減できるそうです。
夏の冷房時の室温の目安は28℃、冬の暖房時は20℃と推奨されているので、その温度を目安に、1℃の違いによる消費電力の差を考えてみるのも大切でしょう。
(2)エアコン代の計算方法
では、具体的にエアコンが、普段どれくらいの電力を消費しているのかをみていきましょう。
季節の変化に合わせつつエアコンが1年間に消費する電力(期間消費電力)を1000kWhとした場合に、東京電力の「従量電灯Bプラン」の「第2段階料金」を適用してみると、
1000kWh(1年の期間消費電力)×26.00円/kWh(東電第2段階料金)=26,000円(1年間のエアコンにかかる電気料金)
となります。これを、ひと月当たりの平均を出すには、12か月で割って、約2,170円がエアコン代になります。
この「期間消費電力」の見方がわかると、エアコンがどれくらい電気代がかかっているかがわかりますね。
(3)暖房と冷房で違う?1時間当たりのエアコンの電気代
では暖房と冷房ではエアコンの電気代は違うのでしょうか。室内外の温度差によって消費電力が変化するエアコンは、電気代を計算するのはなかなか難しいようです。
しかし、エアコン製品紹介ページには期間消費電力量や畳数による消費電力の目安が記載されているので、そこから大体の目安になる金額を算出することは可能でしょう。
1.暖房の場合は?
例えば、ダイキン「ルームエアコン Rシリーズ〈うるさら7〉 」の8畳程度(AN25WRS)で見ていくと、消費電力が510w(110w~1840w)で能力が2.8kW(0.6kW~6.3kW)とされています。これは室内・室外の温度を一定にした条件で室内を温めるとき、2.8kWの能力で510wの消費電力を使用しているということであり、常時510wが消費されるというわけではありません。室内・室外の温度が変われば、消費電力は変わります。
また消費電力の幅を現す(110w~1840w)というのは、最小から最大の暖房能力を現していることになります。
なので1時間あたりの電気代の目安を、先ほどの消費電力から求めると……
最小暖房能力 0.110(w)×1(h)×26.00円=約2.86円
最大暖房能力 1.840(w)×1(h)×26.00円=約47.84円
というように計算することができます。
2.冷房の場合は?
同様に、ダイキン「ルームエアコン Rシリーズ〈うるさら7〉 」の8畳程度(AN25WRS)で見ていきましょう。
こちらの商品は、消費電力が500w(105w~920w)で能力が2.5kW(0.5kW~3.5kW)となっています。この場合でみていくと……
最小冷房能力 0.105(w)×1(h)×26.00円=約2.73円
最大冷房能力 0.920(w)×1(h)×26.00円=約23.92円
というように計算できます。
同じ製品の冷暖房機能で1時間の使用電気料金をみていくと、最大冷暖房能力で比べたとき、やはり暖房のほうが電気代がかかることがわかりました。
※どの値も1kWhあたり26円で計算した場合です。
(3)10年前にエアコンにかかった電気代は…?
では10年前のエアコンだと、電気代は一体いくらだったのでしょうか。
一般的な家庭用エアコンの寿命は約10年ほどが目安、エアコン内部の主要部品の耐久性や各メーカーの修理対応や部品供給ができる範囲とされています。
では、2007年11月に発売されたエアコン、三菱の「MSZ‐ZW408S-W」を参考に、約10年以上前のエアコンにかかる電気代を見ていきましょう。
こちらの製品の期間消費電力量は1406kWhとなっており、年間の電気代を計算すると36,556円で、1か月あたりにならすと約3,046円となります。
これと比較するために、2019年の省エネモデルである、三菱「霧か峰(Zシリーズ)MSZ‐ZW3619」で見ていくと、期間消費電力量は1032kWhなので、1年間の電気料金は約26,832円。1か月あたりは約2,236円、金額差は810円ほどになります。
それほど大きな金額の差はないにしろ、それでもやはり10年前と比べると省エネ機能が進化しているので、最新のエアコンのほうが電気代を節約できるといえますね!
2:電気代で比較!電気代が安い省エネエアコン5選
では最新の省エネエアコンはどれくらい電気代が安くなるのでしょうか? ここでは省エネ機能が優れているエアコンをご紹介していきます。わかりやすくするため、1kWh=26円で電気代を概算してみましょう。
(1)ダイキン「Rシリーズ〈うるさら7〉」
先ほどの例にも登場したこちらは、期間消費電力量をもとに年間の電気代を計算してみると18,642円となり、1か月あたり約1,554円ほど。
床や壁の温度をセンサーで検知し、快適に過ごせる空間を作り出してくれます。
また暖房による乾燥対策として、空気中の水分をエアコンが取り込み、無給水なのに加湿できる機能があるのも魅力的。フィルター自動お掃除機能もあるので、面倒な掃除も負担に感じなくてすみます。
(2)富士通「ノクリア(Xシリーズ)」
こちらも「うるさら7」と同じで、期間消費電力量717wのため年間、1か月使用料金は同じです。
この商品は設定温度に達するまでは足元を温めてくれ、肌寒さを軽減させてくれるのが魅力。また、冷房時は冷たい気流を持ち上げて遠くまで届けてくれるので、エアコンから離れたところにいても快適に過ごすことができます。
またフィルター自動お掃除機能がついていて、手間がかからずに、約13分で掃除をしてくれます。
(3)三菱電機「霧か峰(Zシリーズ)」
年間電気代は18,070円で、1か月あたり約1,506円。
ボタンひとつでAIが部屋の温まりやすさなどを学習して、ちょっと先の温度変化まで先読みし、過ごしやすい温度を自動で判断してくれる機能があります。
また、部屋の保温状態に合ったタイミングでサーキュレーター運転に。部屋の上部に溜まった温かい空気を循環させ、電気代を節約してくれます。
(4)パナソニック「エオリア(Xシリーズ)」
こちらのモデルの年間電気代は17,576円であり、1か月あたりだと約1,465円。電気代の面でみると、なかなかいい製品だと言えるでしょう。
またエアコン内のジメジメによって発生しやすい内部のカビも、自動内部クリーン機能で清潔に保つことができ、空気が汚れることも防いでくれます。
またAg+(銀イオン)でコーティングしたフィルターを採用するなどホコリに潜む菌に対しても除菌。小さなお子さんのいるご家庭などで重宝されています。
(5)日立「白くまくん(Xシリーズ)」
この製品の年間電気代は16,614円で1か月あたりだと約1,385円。また「くらしカメラ」機能が室温や人の位置、ソファーなどの家具の形状を把握して、気流の通り道をみつけて快適な温度を保ってくれます。
寒くなりすぎない除湿機能のほかにも、カビ見張り除湿や結露抑制除湿機能などもあるので、冬の室内外の温度差による結露の心配も解消されますよ。
3:快適なまま節約するには?エアコンの電気代節約術5つ
エアコンの買い替えも検討したいけれど、まずは現時点で節約できる方法があるなら知りたい!という方に、ここでは快適に過ごしつつ、エアコンの電気代も節約もできる方法についてご紹介したいと思います。
(1)季節によって設定温度を変える
上記でも紹介しましたが、夏の冷房時に温度を1℃高くすると約13%消費電力を削減することができます。また同じく、冬の暖房時も1℃低くするだけで約10%消費電力を削減できます。
推奨されている夏の室温は28℃、冬は20℃です。夏はすだれなどで日光を遮る工夫をしたり、冬は断熱シートで窓の外からの冷気を遮断したりすると、エアコン温度だけに頼らずに暑さ、寒さがしのげます。
(2)こまめにフィルターの掃除をする
理想は2週間に一度のペースでフィルターを掃除すること……というのもフィルターが詰まってしまうと冷風や温風が遮断されて、なかなか設定温度にならず、余計に上げ下げすることにつながり、電気代がかかるからです。
フィルター掃除は最初に掃除機で本体カバーやフィルター表面などについているホコリを吸い取ってからフィルターを外すと、外す時にホコリが落ちるのを防ぐことができて良いでしょう。
そして外したフィルターから吸い口を網に押し付けないよう注意しながら、掃除機でさらにホコリをとり、取り切れない細かいゴミやほこりはシャワーを内側からかけるなどして洗い流すときれいになります。戻すときには十分に乾かしましょう。
また吹き出し口の手入れはエアコンのコンセントを抜いて拭いたり、専用ブラシで掃除するなど、ケガのないように行いましょう。
(3)室外機の吹出口の周りに物を置かない
室外機に熱がこもるとエアコンの機能が落ちてしまいます。室外機の前に物を置かないのは大前提であり、庭などに設置されている場合には、室外機前の雑草などは刈って、風通しを良くするのがポイントです。
また豪雪地域では、室外機の前を除雪するのも忘れずに。室外機用の防雪フードやネットなども市販されています。
(4)自動運転機能を使う
節電のために風量を「弱」で使う……一見節電しているように見えますが、これが実は電気代を高くしてしまう原因に。というのも自動運転機能を使って、一気に室温を設定温度にしてしまうほうが、電気代はかからないのです。
また、部屋が暖かいから一旦電源をオフにして、寒くなったらオンにするような、小まめなオンオフも電気代節約にはつながりません。自動運転機能を賢く使って電気代の節約を試してみてください。
(5)サーキュレーターや扇風機を併用する
暖房を使っているときは、部屋の上部に暖かい空気が溜まります。また、冷房を使っているときには冷気は足元に溜まります。なので、サーキュレーターや扇風機を併用すると、必要以上にエアコンを使うことなく節約できます。
冷房の場合はエアコンからの風を水平に、暖房の場合は下向きに設定します。そして、サーキュレーターや扇風機を天井に向けます。
サーキュレーターと扇風機では、サーキュレーターのほうが直進的に遠くまで風を届けるので、広範囲に幅広く風を送る扇風機よりも空気を循環させるという点では効果的です。最近では扇風機とサーキュレーターが一緒になった製品などもあるので、それを活用してみるのも節約への近道かもしれませんね。
4:エアコンを正しく賢く使って、快適に節電しよう!
エアコンの電気代を見直したいときには、省エネ基準達成率を参考にしながら、電気代が高すぎないか、買い換えるとどれくらいの電気代になりそうかなどのヒントをもらうといいのではないでしょうか。
掃除やプラスオンアイテムを併用するといったアイディアも取り入れて、エアコンの電気代を節約してみてくださいね!
【参考】