掲載
年収800万の人の手取り額は?年収800万の人の割合・仕事や生活レベル
水野 文也F.Mizuno
目次
隠す1:年収800万の人の割合は?
国税庁がまとめた平成27年(2015年)分「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者(会社員や公務員)の平均年収は420万円。男女の内訳でいうと、男性が521万円、女性が276万円です。そこから考えると、年収800万円となると、かなりリッチといえるでしょう。
その割合はというと、年収800万円台は、全体の2.7%。男女別では男性は4.2%、女性はわずか0.7%で、女性にとってはなかなか届かない額のようです。ちなみに、それ以上の年収の人を含めた年収800万円以上をみると、全体の8.9%となります。
2:家賃や住宅ローン・車は?年収800万の人の生活レベル
それでは、年収が800万円あるとどんな生活を送れるのでしょうか。未婚の人であれば、まず「独身貴族」を謳歌できるのは間違いありません。同じ800万円でも、独身と既婚、既婚でも子どもありとなし、人それぞれ感覚が違ってきますが、以下に平均的なスタイルをまとめてみました。
(1)手取り額は?
年収800万円といっても、全部使えるわけではありません。税金や社会保険で約200万円ほど引かれるため、手取りの額は約600万円となります。これは家族の有無でも変わり、扶養家族が多ければ、相対的に手取り額は増加します。また先ほど、独身貴族と書きましたが、独身者は控除が少ないので、手取りは多少減ります。それでも、残りは自由に使えるので、年収800万円あれば、やはりかなり余裕をもって暮らせるでしょう。
(2)家賃はいくらぐらい?
一般的に、収入に対する家賃を手取り額の約3割程度にすると、無理なく生活できるといわれています。年棒制の場合、単純に600万円の手取り額を12で割れば50万円となりますが、実際にはボーナスも併用されるケースも多いでしょうから、月間の手取り額は40万円程度くらいが多いでしょう。そうなると、モデルケースとしての家賃は12万円となります。
3LDKのファミリータイプのマンションでみた場合、都心部では20万円超が相場なので、ちょっと厳しいですね。東京都で、このタイプの部屋を借りるとなると、町田や府中など多摩地区ならば可能という感じでしょう。
(3)住宅購入は4000万円の物件
総務省がまとめた統計によると、年収800万円世帯の持家率は約85%。サラリーマン平均では約77%となっているので、若干高い程度です。一般的に、ローンを組んでの住宅購入額は年収の5倍程度とされており、4000万円の物件が無理なく購入できるレベルとなります。郊外であれば、庭付きの一戸建ても夢ではなさそうですね。
中古住宅でもいいというのであれば、かなり選択の幅が広がりそうです。
(4)マイカーはどう?
金融機関が融資してくれるカーローンの限度額は、年収の30%台が一般的のようです。そうなると、融資額は200~300万円程度。頭金をある程度貯めておけば、セダンであれば、トヨタのカムリあたりが購入できそうです。新車では、ホンダのヴェゼルやスバルのレガシィB4、SUVなら三菱のアウトランダーなども。中古で良ければ、BMW3シリーズなどの外国車も手が届くでしょう。
3:夫が年収800万で専業主婦は可能?生活シミュレーション
(1)専業主婦でも大丈夫?
どんな生活を送るかにもよりますが、ご主人の年収が800万円あれば、専業主婦でも大丈夫でしょう。ただ、人間誰しも、少しでも豊かな生活を送りたいもの。また、子どもに手がかからなくなって、働くことを生きがいにする女性も大勢います。ですので、ここでは、可能かどうか、という問いに対して「YES」という回答のみを記すことにしました。
(2)年収800万円、片働き子ども2人世帯の生活シミュレーション
以下に、平均的な金額をまとめてみました。
月収(手取り)・・・50.2万円
家賃・・・13.0万円(都内の3LDK賃貸マンション)
食費・・・10.0万円(月数回、家族で外食も含む)
水道光熱費・・・2.5万円
通信費・・・2.0万円
日用品など消耗品費・・・3.0 万円
保険料・・・4.0 万円(生命保険、子ども2人分の学資保険)
教育費・・・4.0 万円(中学受験を控えた長男の塾、次男のお稽古)
夫の小遣い・・・4.0万円(ランチ代含む)
妻の小遣い・・・2.0万円(ママ友とのランチ代含む)
自動車ローン・・・3.0万円
趣味・娯楽・・・4.0万円
このケースだと、生活費の合計が47.5万円。2.5万円残りますが、この分を貯蓄に回すことができます。将来に備えて、貯蓄を増やしたければ、ご主人にガマンしてもらって小遣いを3万円に、外食をやめて2万円節約すれば、7.5万円は貯蓄に回せることになります。
4:女性でも年収800万を叶えられる仕事5選
医師や弁護士など専門職であれば、800万円どころか、それ以上の年収も可能でしょう。ですが、これらはあまり一般的とはいえないので、会社員などの給与所得者という括りで探ってみました。
女性向けの求人情報をみると、年収800万円も夢ではないという仕事が少なからずあります。ただし、スキルや経験、専門的な知識など、求められるレベルはとても高く、誰にでもとはいかないことを、先にお断りしておきます。
(1)投資銀行のアドバイザー業務
投資銀行や証券会社などでM&Aを行う部門に勤務するような女性は、ン年収800万円は固いでしょう。ただし、会計など専門的な知識が必要なほか、仕事が深夜に及ぶことも多く、また体力がないと務まりません。筆者は、経済ジャーナリストとしてM&Aの取材をかつて行ったことがありますが、前線で働く人の中には、女性が多かったのが印象的でした。
(2)外資系のキャビンアテンダント(CA)
今でもCAは憧れの職業かもしれませんが、外資系航空会社であれば、年収800万円も夢ではありません。もちろん、語学が堪能でなければ、務まりません。筆者の知り合いに20代の終わりから、50代になった今でも現役のCAがいますが、経営難などに陥った際にコストカットのため従業員に一時的に休業させる、一時帰休が頻繁にあり、あまり安定している印象はありません。特に、現在のように新型コロナウイルスの影響があるときは、厳しいと思われます。
(3)大企業の総合職
法律的にも女性社員の保護が厚くなった現在なら、大企業の総合職で入社し、着実に仕事をこなして出世すれば、年収800万円は十分到達が可能なラインといえるでしょう。最初は給与が安くても、責任あるポジションにつくと、年収はぐっと上がります。役員まで出世すれば、年収800万円は単なる通過点となりそうです。
(4)ベンチャー企業の創設メンバー
やる気、根性、努力は必須。またビジネスが軌道に乗らず、不発に終わるリスクも少なくありません。成功するのは、ひと握りという厳しい現実がありながらも、成功している人がいるのも事実です。ハイリスクハイリターンといえそうですが、お金のために頑張るつもりがあれば、苦労は何ともないはずです。
(5)地方議会の議員
特殊な例ですが、政治に興味があって、世の中を良くしたいという矜持があれば、不可能な職業ではないと思います。選挙に立候補して当選する必要がありますが、地方議会で若い女性議員は珍しくなくなりました。年収800万円という意味では、東京都の各区議会や人口30~40万人くらいの都市がそれにあたります。もしなるならば、何がやりたいか、はっきりした考えをもって目指したい職業ですね。
5:まとめ
なぜ年収800万円が注目を浴びるのかといえば、税負担が重くなるかどうか、ここがギリギリになる場合が多いからです。たとえば、高校授業料の無償化となるのは、年収910万円以下。いろんな分野で公的な支援が受けられるギリギリの水準と覚えておくといいでしょう。
【参考】