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聞く力とは?ただ話を聞いているだけの人と聞く力がある人との違い

並木まき

並木まきM.Namiki

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目次

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1:聞く力とは?傾聴力、理解力、質問力との違い

聞く力と聞くと、阿川佐和子さんのベストセラー本「聞く力 ―心をひらく35のヒント」(文春新書)を思い浮かべる人も多いでしょう。こちらの本には、長期にわたる対談連載やトーク番組などの経験をとおして培った、人から話を聞き出すテクニックがまとめられています。

一般的に「聞く力」というと、ただ話を聞くことができる能力ではなく、相手の話に深く耳を傾け(傾聴)、それをしっかりと頭にインプットして整理して(理解)、さらに話をふくらませるために、同意をしたり問いかけたりする(質問)、複合的な能力のことです。

「傾聴力」「理解力」「質問力」というのは、それぞれがコミュニケーションに必要なスキル。「聞く力」とは、これらすべてを含んだものだと理解していいでしょう。

2:聞く力がない人がやりがちな失敗5つ

(1)自分の興味のあることしか頭に入れない

自分には聞く力があると勘違いしている人の多くは、自分の興味のある話だけを覚えていて、それを「聞いた」としてしまうもの。コミュニケーションでは、相手の伝えたいことを理解する、話したいことをしっかり話してもらう、さらにそのうえで自分の話も聞いてもらう必要があるので、興味関心があることだけでは、聞いてることになりません。

(2)話の最中に別のことを考えてしまう

会話にすぐ飽きてしまい、別のことを考えてしまう人も、聞く力がないといえます。そもそも集中していなければ、話が頭に入ってこず、会話をしながら考えを整理したり、適切な質問をすることは不可能でしょう。

(3)自分の都合のいいように解釈してしまう

話を聞くには聞くけれど、自分の都合のいいように解釈する癖がある人も多いもの。このタイプは「え、だってそう言ったじゃないですか!」と逆ギレする傾向もあり、めんどくさい人として扱われやすくなります。

(4)本当に「聞いているだけ」

話を本当に「聞いているだけ」という人もいます。まさに、右から左へ聞き流す。頭の中にとどめておく能力がないため、その後、質問をしたり詳細を聞き出したいと思ったときも、ゼロベースで話してもらわないと、理解できなかったりします。

(5)聞いたことをすぐに忘れてしまう

その話は聞いたし、そのときは覚えている。しかし、すぐに忘れてしまうタイプも「聞く力がない」と判断されます。しかし、これは自覚があればメモをとるなどで対応できるので、比較的改善しやすいでしょう。

3:聞く力を身につけるとメリットだらけ…得られるもの3つ

(1)周囲から信頼される

聞く力を習得すると、周囲からの信頼を得やすくなります。「あの人に話しておけば、的確に処理してくれるから安心だ」「あの人に言っておけば、適切に立ち回ってくれるはずだ」と思ってもらえれば、一緒に仕事をしたいと思ってくれる人も増えるでしょう。

(2)仕事がスムーズに進む

聞く力は、仕事を処理するスキルにも直結します。他人の話を正しく理解できれば、業務や作業の進め方もスムーズに。結果として効率が飛躍的に上がるでしょう。

(3)リスクヘッジがしやすくなる

他人が教えてくれたことを正しく理解できると、未知のものへのリスクヘッジにも役立ちます。自分がまだ体験したことのない状況に対しても、体験者の話を聞くことによってイメージできれば、想定内の出来事がどんどん増えていくでしょう。

4:聞く力を上げるトレーニング法5つ

(1)熱心に聞く努力をする

たとえ興味がない話題であっても、一言一句、聞き漏らさないように熱心に聞き続けましょう。最初は脳が疲れてしまうかもしれませんが、それも訓練のうち。だんだんと脳の許容範囲が広がって、話が理解できるようになるはずです。

(2)会話の途中にメモをとる

会話の最中にメモをとる癖をつけると、聞く力は格段にアップします。わからなかったキーワードや、後で調べたいことなどもメモにとりましょう。ただし、メモをとることに収集して、話を遮ってはいけません。必要なことだけをメモして、そこから自分の記憶にアクセスできるようなスイッチと考えましょう。

(3)質問する

話し手が何を伝えたいのかを推測しながら話を聞く癖をつけましょう。そしてわからなかったり、掘り下げられそうなところは、どんどん質問しましょう。「それはこういう意味ですか?」「こういうケースもか考えられますが、その場合はどうですか?」など、折々で質問していくと、より立体的に相手の話を理解できるはずです

(4)自分の頭の中で反復する

相手から聞いた話を、後で自分の頭の中で反復することも有効です。まずは、目で全体のイメージを録画するように捉え、そして、それを思い出すのです。相手の身振りや手ぶりなども思い出すと、相手が何を伝えたかったのかもおのずとわかるようになるでしょう。

(5)重要なキーワードは頭にも残しておく

重要だと思われるキーワードが出てきたら、メモだけでなく、頭の中にも、きっちりと残す癖をつけましょう。こうすることで、後日その話題が再び出たときにも、何をメインテーマに聞くべきかが明確になりやすく、効率的に聞くことができます。

5:聞く力は英語で何という?

「聞く力」を直訳すると「listening skills」「listening ability」です。しかし、口語で「彼は聞く力がない」という場合には、「He has no ability to hear.」というほうがスマート。ただし、耳が悪いという意味になるケースもあるので、前後の会話から推測しましょう。

ちなみに「聞く」に関する有名なことわざ、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」は、「Nothing is lost for asking.」と言います。

6:まとめ

ただ「聞いて終わり」ではなく、聞いた話をどう自分の糧にするのかによって、ビジネスマンとしての印象も大きく変わります。誰かと会話をするときや講演を聴くときには、その話を正しく理解し、自分のキャリアに上手に活かせるように心がけると、より人の話を聞くのが楽しみになるのではないでしょうか。