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「ご了承」の意味や類語は?ビジネスでも使える例文と使う際の注意点
松田優Y.Matsuda
1:「ご了承」とは?
(1)ご了承の意味
まずは「ご了承」の意味から。「了承」を辞書で調べてみましょう。
りょう‐しょう【了承/×諒承/領承】
事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。「―を得る」「申し入れを―する」「―済み」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「了承=納得、承知、承諾する」ことの敬語表現である「ご了承」は、相手に了承「してもらう」という意味となります。
(2)ご了承の類語
次に「了承」の類語を見てみましょう。
了解する
▽上司の了解を得る
▽「現場へ急行して下さい」「了解」
承知する
▽とても承知できない条件だ
▽私が承知しているから大丈夫
▽あらかじめご承知おき下さい
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「了解」は、事情や事柄の内容などを理解して認めること。「承知」は、申し入れや頼みを聞き入れることを意味します。
(3)ご了承を英語で言うと?
英語では「understand」「approve」となります。敬語表現なので、「Please understand~」「Please approve~」というように表現されることが多いでしょう。
了承する|understand; approve
〔了解〕understanding;
〔承認〕approval ((of));
〔同意〕consent
この件は落着したとご了承いただきたい
Please understand that this matter has been settled.
学校当局の了承なしにクラブをつくった
They organized a club without the approval of the school authorities.
この案を了承なさいますか
Will you consent to this plan?
出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)
ほかにも「I appreciate your understanding.(ご了承のほどよろしくお願いいたします)」のようにも表現できます。
2:ビジネスで使える!「ご了承」を使った例文5つ
ビジネスシーンで目にする機会の多い「ご了承」。実際に使うときはどのように文章に組み込めばよいのでしょうか。実際に使うシーンを想定した例文を、5つご紹介します。
(1)ご了承ください
「ご了承ください」は、これから実施する事柄について、事前に承知、納得してもらうために使う表現です。「ご入場の際に、身分証明書のご提示をお願いしております。あらかじめご了承ください」「返信にお時間をちょうだいする場合がありますので、ご了承ください」のように使用します。
また、「ご了承ください」というのは、相手方に選択の余地はなく、こちらの提案をそのまま受け入れてください、という表現。そのため、内容についても押し付けるような強い表現を使わないように注意すると良いでしょう。
(2)ご了承願います
「ご了承ください」は敬語ではあるものの、「~してくれ」と命令形を含んだ言葉です。「ご了承願います」とすることで、お願いしたいという気持ちを表現することができます。含まれる意味合いとして大きな差はありませんが、表現上は丁寧に感じられますよね。
「特典は先着順のご用意となりますことを、ご了承願います」「進行の都合上、順番が前後する場合がございます。予めご了承願います」など、人によっては、こちら側の意向を一方的に押し付けられたと感じられる可能性があるシーンで活用できます。
(3)ご了承のほどお願いいたします
「ご了承願います」を、さらに丁寧に伝えたいときに役に立つ表現です。言っていることは変わらないのですが、丁寧さ、表現の柔らかさが増しているように感じられます。「~のほど」に敬語的な意味はありませんが、文章を柔らかくする役割を持っています。目上の人に使うときは、こちらの表現がベターでしょう。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、ご了承のほどよろしくお願いいたします」「大変お手数をおかけいたしますが、ご了承のほどお願いいたします」など、謝罪を伴う内容のときに使用すると、「これで納得してほしい」という気持ちが、少し和らいだ印象になりますね。
(4)ご了承いただきありがとうございます
こちらからの提案やお願いを聞き入れていただけたことに、感謝を示すときに使う表現です。相手に選択権のあるものではなく、一方的な要求を受け入れてくださいというお願いを、拒否せず受け入れてくれたのですから、丁寧に感謝を伝えたいものですね。
「こちらの事情にも関わらず、快くご了承いただきありがとうございます」「お急ぎにも関わらず、納期の延長をご了承いただき、心より感謝申し上げます」のように使うことができて、目上の人や取引先へのメールや文書にも用いることができます。
(5)ご了承くださいますようお願い申し上げます
通知に類するお願いに使うのに適した表現です。店舗の休業やリニューアル、時間や諸々の変更のお知らせなどでよく目にしますね。相手にとって選択できる方法がひとつしかなく、あらかじめ知っておいてほしいことをお知らせする際に使う表現です。
例として「〇月〇日より〇日まで夏季休業とさせていただきます。ご了承くださいますようお願い申し上げます」や「返信はメールでのみ受け付けております。あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます」といったように使われます。
3:目上の人にも使えるの?「ご了承」を使う際の注意点3つ
目上の人に依頼やお知らせをするシーンもありますよね。「ご了承ください」は目上の人には不向きですが、どんなことに注意すれば使えるのでしょうか。注意点を、3つ挙げてみました。
(1)柔らかい表現にする
「ご了承ください」も敬語として誤りではありません。しかし「~ください」は「~してくれ」を丁寧に表したもので、こちらの要望を一方的に押し付けられたという印象を与えることも。
目上の人に使うときは、「お願い」や「~していただく」というニュアンスを強めに表現すると良いでしょう。「ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします」などは、取引先へ使用しても問題ありません。
(2)文法上の正確さ<好印象を与えること
依頼や謝罪を伴うときに使用する言葉なので、文法上の正しさも必要ですが、それよりも大切なのは、相手に良い印象を与えること。
こちらの意向を全面的に承諾してほしいという意味合いで使う言葉ですので、上からものを言っているように受け取られるのは得策ではありません。文法上は少しまどろっこしい表現になったとしても、できるだけ受け入れられやすい表現を使うようにしましょう。
(3)内容によって適宜言い換える
内容やシーンによっては「ご了承願います」でも、目上の人に使うのは不適切なこともあります。そんなときは、「お含み置きください」など、少し違った表現に言い換えられると良いでしょう。
「会議の日程は下記のとおり変更になりましたので、お含み置きください」というように、状況を理解して心に留めておいてほしいときなどには、「ご了承ください」とするよりも、表現上はマイルドに伝えられます。
4:まとめ
言い回し次第で、提案やお知らせ、お願いなどに広く使用できることができる「ご了承」という言葉。「お願いしたい」というニュアンスを強めると、目上の人にも安心して使えます。使う言い回しに悩んだら、この記事を参考に、フィットする使い方を見つけてみてくださいね。