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「吹聴」はどんな時に使う言葉?読み方や類語、吹聴を使った例文まで解説!

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:「吹聴」とは?

「吹聴」というのは、あまり耳慣れない言葉かもしれません。何と読み、どのようなルーツを持つ言葉なのでしょうか。意味と読み方、由来や類語を確認してみましょう。

(1)吹聴の意味と読み方

まずは吹聴の意味と読み方を見てみましょう。

ふい‐ちょう【▽吹聴】

言いふらすこと。言い広めること

「自慢話を吹聴して回る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

辞書上で「吹」という字の読み方は「スイ・ふ-く」とされていますが、この場合は「ふいちょう」と読みます。なんとなくネガティブな印象で使われているイメージはありましたが、「言いふらす」という意味から、そのようなイメージになっていると言えそうです。

(2)風潮から来た?吹聴の由来

「吹」に「フイ」という読みは、辞書上にはありません。ではなぜ「ふいちょう」と読むのかと言うと、「吹聴」はもともと「風潮」という言葉に端を発し、これが変化して今の「吹聴」という形になったのだそう。

「風潮=うわさ、風聞、風の便り」という意味があり、さらに「言いふらす・言い広める」という意味も持っています。後者の「言いふらす」という意味を強調するために「吹」という字があてられ、「ふいちょう」という特殊な読み方になったといわれています。

(3)流布や喧伝とはどう違う?吹聴の類語

「吹聴」の類語に「流布(るふ)」「喧伝(けんでん)」がありますが、それらと「吹聴」の違いを見てみましょう。

る‐ふ【流布】

世に広まること。広く世間に行き渡ること。「妙なうわさが流布している」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

けん‐でん【×喧伝】

盛んに言いはやして世間に広く知らせること。「世に広く喧伝された事件」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「流布=広まること、行き渡ること」という能動的でない点、「喧伝=盛んに言いはやす」という点で、「吹聴」と異なっていますね。

2:良い意味では使われない!「吹聴」を使った例文5つ

「吹聴=言いふらす」という意味のイメージが強く、あまり良い意味で使われていることはないかもしれません。ここでは実際に「吹聴」を使用した例文を、5つご紹介します。

(1)他人の噂を吹聴する

「風のうわさで~」とか「あの人から聞いたんだけど……」というのは、雑談の中ではよくある話ですね。逆に、噂の発信元の人が「あの人はいつも他人の噂を吹聴しているよね」なんて言われていることも。

「他人の噂を吹聴するなんて、大人として常識を欠く行為だ」というように使われます。他人のことをあれこれとふれ回るのですから、ネガティブな印象を持たれても仕方がないですよね。

(2)自慢話を吹聴してまわる

「あの人はいつまでも過去の栄光にすがって、自慢話を吹聴して回っている」というと、職場の大規模な交流会や年末年始の飲み会などが想起されますね。実際に「自分はこんなにすごかったんだ」というアピールをして回っている人の顔が思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。「成績がよかったみたいで、鼻高々で吹聴して回ってるよ」なんて呆れられているケースも見受けられそうです。

(3)誹謗中傷が吹聴される

ネット上での誹謗中傷の問題が浮き彫りになっていますが、まさに「吹聴」された結果と言えるでしょう。「会社に対する誹謗中傷が吹聴されているため、現在対応を検討しております」というように使われます。広報等に近い職場では実際に耳にしたことがあるかもしれませんね。

他にも「自分の噂が吹聴されるのは、気分のいいものではない」というようにも使うことができます。

(4)他人の悪口を吹聴する

子どものころの人間関係の悩みの発端といえば悪口。「他人の悪口を吹聴してまわる」ような子どもが、ひとりぐらいいたのではないでしょうか。「あの人はいつでも、嫉妬から相手の悪口を吹聴する」なんていうふうに、逆に噂になっているかもしれません。他にも「誰かが自分の悪口を吹聴しているようだ」というようにも使用できます。

(5)アイディアを大げさに吹聴した

良いアイディアは正しい形で伝えてこそ。本筋から大きく離れた内容まで声高に伝えていては「あの人は自分のアイディアを大げさに吹聴していた」「大げさに吹聴していたけど、アイディアの本質自体は大したことなかった」なんて言われてしまうことも。

くだけた言い方にすると「盛った話をふれ回っている」という意味合いになります。本人としては前向きな行為ですが、受け手からはポジティブには捉えにくい時に使える表現ですね。

3:吹聴を英語で言うとどうなる?英語での例文と使い方

では英語ではどのように表現するのでしょうか。単に「話を広める」であれば「make something known=周知する」が使われますが、「吹聴」の持つ独特の意味合いを伝えるには、以下のように表現できそうです。

吹聴する

〔言いふらす〕spread ((a thing)) around, make((a thing)) public, make ((a thing)) known;〔自慢して言い回る〕boast ((of, about; that));〔推薦・宣伝する〕recommend ((that))

出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)

「吹聴」のニュアンスによっても、少しずつ違う言葉が使われそうですね。文章にすると、以下のように表現されます。

この店をご懇意の方々にご吹聴ください

Please recommend this store to your friends./Tell your friends about this store.

彼は得意げに息子の成功を吹聴した

He boasted to everyone about [of] his son’s success.

自分のことを百万長者だと吹聴している

He 「advertises himself as [brags about being] a millionaire.

出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)

「Please recommend this store to your friends.」のように、英語では純粋に「宣伝」という意味でも「吹聴」という表現が使われることもあります。

4:まとめ

日常でなじみが薄く、意味も読み方も使い方も曖昧だった「吹聴」という言葉。いざというときに、「すいちょう」などの誤った読み方や、意味合いのズレた使い方をしてしまわないように、正しく理解しておきましょう。