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貴殿の意味は?女性に使える!? 「あなた」の敬語表現と使い方8選

松田優

松田優Y.Matsuda

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目次

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1:貴殿の意味は?女性が使ったり女性に使ったりできない?

「貴殿」は「きでん」と読み、「あなた」という意味を表す言葉です。文書などで目にする機会はありますが、「貴殿」という言葉を日常で使う人はなかなかいませんよね。

滅多に使わない表現だからこそ、「意味や用法が曖昧なまま」という人も多いはず。仕事上でのやりとりで使う際に慌てないためにも、教養として、正しい意味を押さえておきたいところです。

まず、辞書で意味を調べてみましょう。

貴殿(きでん)

二人称の人代名詞。男性が目上または同等の男性に対して用いる。

相手を敬って、その住宅をいう語。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「貴殿」は男性同士のみ使われるもの。女性に対して、または女性は使うことはできない表現です。

補足として「もともと目上の相手への敬称として用いたが、のちに、同輩に対する親愛の気持ちを表す語としても用いるようになった。現代では多く手紙や文書で用いる」とあります。つまり、必ずしも敬いの意味として使われるとは限らないことがわかります。

2:例文あり!貴殿、貴方…「あなた」の敬語表現と使い方8

「貴殿」以外にも「あなた」という意味の表現はいくつかあります。それぞれの言葉を正しく使い分け、ワンランク上の文章作りに活かしていきましょう。

(1)「貴殿」は文章中で使う

日常会話の中で「貴殿は……」と使うことはありません。「貴殿」は、手紙や公式の文書などで使われる書き言葉です。よく目にするものとして、賞状や表彰状の文章を挙げることができます。

「貴殿は永きに亘り事業の発展に大きく貢献し……」「貴殿の功績を称えここに表彰する」といったように、畏まった文章の中で使われる言葉です。

(2)貴殿の読み方は?

「貴殿」は「あなた」という意味があることから、読み仮名をそのまま「あなた」とする場合もあります。しかし、正式には上で紹介したように「きでん」と読みます。

手紙などで書く際には問題ありませんが、賞状などを読み上げる際には気をつけたいポイントですね。

(3)女性に向けて「あなた」という場合は?

「貴殿」は男性に向けて使う言葉で、女性に対して使うことはできません。女性に対しては「貴女」という言葉を使います。こちらも「貴女=あなた」と読むこともありますが、正しい読み方は「きじょ」です。

(4)「貴殿」「貴方」「貴台」敬いの意味が強い順番は?

「貴殿」と同じく「あなた」を意味する言葉としてよく見かける「貴方」と「貴台」。同じ「貴」という漢字が使われていますが、敬意の度合はそれぞれ違います。

もっとも高い敬意を払っているのは「貴台」、続いて「貴殿」となります。「貴方」は男女どちらにも使うことのできる表現ですが、この3つの中では敬意が低い印象があるため、目上の人にはあまり使わないものとしておいたほうがいいかもしれませんね。

(5)「貴公」は尊敬度が変化したもの

「貴公」も「あなた」という意味を表す言葉ですが、こちらは「対等か目下の者に対して使う」もの。江戸時代では敬意のある表現として用いられていたようですが、現代に至るまでに尊敬度が落ち、いまとなっては敬語として使われることはありません。

一見すると敬語表現と判断してしまいそうですが、目上の人に対して「貴公のご意見を……」などと使わないよう注意しましょう。同じく「貴様」も元々敬語だったものですが、ときを経て対等もしくは目下の者に使われるようになった言葉です。

(6)目下の者に対する「あなた」の表現

「貴公」以外にも、対等もしくは目下の者に対して使う表現として「貴君」があります。こちらは軽めですが敬意が込められており、例として「貴君のますますの活躍を祈ります」といった使い方をすることができます。

また、「貴下」も、読んで字のごとく対等もしくは目下の者に対して使う言葉です。「貴君」は「きくん」、「貴下」は「きした」ではなく「きか」と読みます。

(7)「貴兄」「貴姉」の使い方

相手を敬う表現として「貴兄」や「貴姉」という言葉も挙げることができます。こちらふたつは「男性が目上の男性や女性に使うもの」。女性は使わない表現であることを覚えておきましょう。読み方は「きけい」「きし」です。

最近ではあまり使われない表現ですが、教養として覚えておいてもいいかもしれませんね。

(8)複数人に対して「あなた」というには?

複数の人に対して「あなた」と言いたい場合、「貴殿」に人に敬意を表す言葉である「方」を加えて「貴殿方=きでんがた」と言うこともできます。

しかし、あまり一般的とは言えない表現であるため、伝わりにくさに不安がある場合は「みなさまがた」を使うことも可能です。こちらのほうが誰にでもわかる、簡潔な表現と言えるでしょう。

3:まとめ

ざっと挙げただけでも「あなた」の表現は数多くあり、その用法は迷うところ。文章の中でのみ使うもの、男性だけが使うもの、敬意の度合が下がったもの……似た漢字が使ってあるぶん、紛らわしい表現には特に気をつけて使っていきましょう。