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小職の意味は?ビジネスで使われる小職・小生・弊職・当職の意味と使い方
松田優Y.Matsuda
1:小職の読み方と意味は?
「小職」の意味を辞書で調べると、このように書かれています。
しょう‐しょく【小職】
1 地位の低い官職。
2 官職についている人が自分をへりくだっていう語。小官。出典:デジタル大辞泉(小学館)
このように「小職」とは、自分自身のことをへりくだって表現する言葉です。官職についている人が自分の立場を譲って使用する言葉であるため、使用できる人は限られます。
また、「小職」は「こしょく」と読み間違えやすいですが、実際は「しょうしょく」と読むのが正しい読み方なので注意しましょう。
2:小職の使い方!女性や平社員でも使える?
「小職」は、もとは国会議員などの官職が使用していた言葉でしたが、現在では一般社会でも使われる機会が増え、主にIT企業や商社の社員が使用していることも多いといわれています。では実際に「小職」とはどのように使用すれば良いのでしょうか。
(1)小職を使った例文
「小職」を使用した例を挙げてみましょう。
・小職は本日付けで営業部へと異動となりましたことをご報告いたします。
・書類が完成致しましたら、小職までご提出いただきたく思います。
・小職は本日出張につき、お休みとさせていただきます。
などというように、「私」と同じように第一人称として使用すればOKです。
(2)「小職」を女性が使用しても問題なし!
「小職」は男性のみが使用しているイメージがありますが、男女ともに使用できる言葉。なので、女性が使用しても問題ありません。しかし、古風な言葉のため、固い印象を相手に与えてしまうことがあります。
無理に使用せず、「わたし」「わたくし」と表現するほうが無難といえるでしょう。
(3)平社員や新入社員が使用するのはNG
「小職」は、本来は国会議員などの管理職の人が使用する言葉であり、民間企業でも取締役や部長、課長といった地位のある人が使用するのが一般的です。
そのため、管理職以上の役職ではない平社員や新入社員が使用すると、横柄な態度として取られてしまいます。自分が「小職を使用しても良い立場であるか」を考えてから使用するようにしましょう。
3:小生・当職・弊職の意味と使い方
「小職」のように自分をへりくだる表現は、他にも存在します。言葉によっては使用する人やシーンを選ぶので、「小職」との違いを把握しておきましょう。
(1)小生
しょう‐せい【小生】
一人称の人代名詞。男性が自分をへりくだっていう語。多く、手紙文に用いる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「小生」は、男性が自分をへりくだって表現をする際に使用する言葉。手紙やメールに用いることが多いため口語ではあまり使用されません。自分が偉い立場であることを前提とした言葉なので、目上の相手に使うのは避けるようにしましょう。
「小職」と違って、「小生」は男性が使用する言葉なので、女性は使わないように注意しましょう。
(2)当職
とう‐しょく【当職】
1 この職業・職務。
2 現在の職業・職務。現職。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「当職」は自分のことを指すのではなく、「自分の職業」を指す言葉です。主に弁護士や司法書士、弁理士が第一人称として使用するため、一般企業の会社員が使用することはほとんどありません。
また、「小職」が謙譲語であるのに対し、「当職」は謙譲語ではありません。
(3)弊職
へいしょく【弊職】
現にその職務についている自分自身をへりくだっていう語。
出典:大辞林 第三版(三省堂)
「弊職」とは自分の所属する会社を表す「弊社」と、第一人称である「小職」を掛け合わせた造語だといわれています。
手紙やメールといった文書で使用されることがありますが、一般的に用いられる頻度は少ないため、ビジネスシーンでは避けたほうがよいでしょう。
4:小職はうざい?小職を使う人に対する印象3つ
「小職」ばかりを使っている人は、実はうざいと感じられているかもしれません。「小職」という言葉を使用している人には、こんなイメージを持つ方も多いようです。
(1)「自分は偉い」とアピールしているように見える
「小職」は管理職に就く人が使用する言葉であり、言葉を使用するということは、「自分は偉いのだ」と暗にアピールしているのと同じことになります。頻繁に「小職」を使っていると、「あの人また自分は偉いアピールをしてる……」とうざがられてしまうケースも。
ビジネスシーンでもなるべく限られた場所で使うようにし、何度も言うのは避けるようにしましょう。
(2)ビジネス用語を使いたいだけの人に見える
いくらIT企業や商社で使用されているといえど、一般的に「小職」という言葉を使用する人は少ないです。ビジネス用語として捉えている人も多いからこそ、多用していると「ビジネス用語をやたらと使いたいだけじゃん!」と冷めた目で見られてしまうことも……。
“自分は仕事がデキる”というアピールは、ビジネス用語ではなく、実際の仕事内容で見せるようにしましょう。
(3)小難しいイメージや古臭い印象がつく
「小職」は古風な印象が強く、難しい言葉として捉えられがちです。「私」と表現して良い会話であるはずなのに、あえて「小職」を使っていると小難しい言葉を好む人、扱いにくい人として見られることも。
ビジネスシーンといえど、“難しい人”という印象を与えてしまってはマイナスです。無理に「小職」を使用せず、しっかりした姿は見せつつ、ある程度フランクな雰囲気も持つように心がけましょう。
5:まとめ
「小職」という言葉を使うと、なんだか仕事がデキる人になったような気分になりますよね。しかし、使ってもOKな相手やシーンは限られています。知らないまま使っていると恥ずかしい思いをすることになるかもしれません。
意味をしっかりと理解し、自分が「小職」を使える立場であるか今一度確認してみましょう。