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試行錯誤の意味や類語は?例文と試行錯誤学習の事例

平松隆円

平松隆円R.Hiramatsu

目次

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1:試行錯誤とは?意味と類語、英語での言い方

試行錯誤という言葉を聞いたり、使ったりした経験は、一度くらいはあるでしょう。ですが、なかなかその意味を正確に答えられるという人は少ないかもしれません。

まずは「試行錯誤」の意味について確認をしておきましょう。

(1)試行錯誤の意味と類語

小学館発行の『デジタル大辞泉』には、試行錯誤の意味が次のように載っています。

しこう‐さくご【試行錯誤】

種々の方法を繰り返し試みて失敗を重ねながら解決方法を追求すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ブリタニカ・ジャパンが発行している、国際的な百科事典『ブリタニカ国際大百科事典』には、もう少し詳しく意味が載っていて、「課題場面におかれた生体が、既知の解決法のないときに、手当り次第の反応を次々に試みていくことによって、最後には課題を解決するにいたるような行動様式。またこのような行動様式に基づく課題解決ないしは習慣形成の一形式のこと」とあります。

『ブリタニカ国際大百科事典』の意味は、ちょっと専門的すぎてわかりづらいかもしれませんね。これはアメリカの心理学者であるエドワード・リー・ソーンダイク(Edward Lee Thorndike)が、教育や学習の研究の中で、提唱した考え方です。

ソーンダイクは、動物が箱の中に入っているエサを取るために、いろいろなことを試しながら、最終的には餌を食べることができたという実験から、この説を提唱しました。

もともとは学術用語なので、似たような意味の言葉を探すことは難しいのですが、類語としては「暗中模索」とか「もがく」という言葉が意味が近いかもしれません。

(2)英語での言い方

ちなみに英語では、「trial and error」という言葉が、試行錯誤を意味します。先ほどのソーンダイクの説も、英語では「Trial and Error Theory」と呼ばれています。

2:「試行錯誤を繰り返す」「試行錯誤を重ねる」は正しい?試行錯誤を使った言葉と例文

ところで、この試行錯誤という言葉を私たちが日常で使う場合、「試行錯誤する」というふうに使う場合もあれば、「試行錯誤を繰り返す」とか「試行錯誤を重ねる」というふうに使うこともあります。

どれが正しいかと聞かれれば、どれも正しいといえるかもしれません。ただし、国語辞書的に厳密にいえば、「試行錯誤を重ねる」と使うのが正しいようです。

中島健蔵という人が書いた『文学の根本問題』という文章の中では「いつも試行錯誤を繰り返しているようなことになるだろうと思われる」というふうに使われていますが、多くの国語辞書には「試行錯誤を重ねる」という使い方は載っていても、「試行錯誤を繰り返す」は載っていないからです。

3:試行錯誤学習って何?内容と事例3選

ところで、試行錯誤に関連して、「試行錯誤学習」という言葉があります。英語では「Trial and Error Learning」と表現されます。

(1)試行錯誤学習とは?

試行錯誤学習とは、人や動物など(=学習者)が誰からも教わらずに自分で考えていろいろ試してみた結果、うまくいった方法や行動を身につけていく学習のこと。対義(反対)の言葉というわけではありませんが、「教示学習」という言葉があり、よく大学の心理学や教育学の授業では、セットで学ぶことが多い言葉です。

(2)教示学習とは?

教示学習とは、指導者(=教師)から正解やそれを導く方法を教えてもうらう学習のことです。例えば、算数や数学で答えの導き方の公式を教えてもらったり、壊れたクルマや電化製品の修理方法を教えてもらうのは、教示学習です。

(3)試行錯誤学習と教示学習

試行錯誤学習と教示学習には、それぞれメリットもデメリットもあります。

教示学習の場合、メリットは最短で解決策や答えを導くことができるようになります。それはそうですよね。だって、答えの出し方を教えてもらっているわけですから。ですが、その結果、自分の頭で考えることをしなくなり、別の方法で答えを探そうとしたり、解決策を教えられていない課題に直面してしまうと、どうしていいかわからなくなって路頭に迷うということになります。

一方、試行錯誤学習は、自分で考えて答えを探すわけですから、未知の問題や課題に直面しても、自分で何とかして答えや解決策を探そうとします。ですが、自分で考えなければならないため、答えや解決策を見つけるまでに時間がかかってしまうのがデメリットです。

高校の勉強や大学受験であれば、教示学習でなんら問題はないかもしれません。ですが、社会人になって、仕事で問題に直面したとき、同僚や上司の人だって解決の仕方を知っているとは限りません。その意味では、教示学習に慣れてしまうのは、よくないといえるでしょう。

4:まとめ

今の中学校や高校での教育というのは、教示学習が中心で、自分で試行錯誤をする機会は少ないかもしれません。そのため、大学生や社会人になってから、どうしたらいいかわからないという人たちがたくさんいます。

学校の勉強はある程度仕方がないにしても、日常生活でおこった問題に対しては、自分で考えて解決する癖をつけておきたいものです。