恋のなやみに効くメディア

年金がもらえないってホント?そういわれる理由ともらえる人の条件3つ

深海雪

深海雪Y.Shinkai

目次

隠す

1:払い続けていても年金なんてもらえないってホント?

日本の公的年金制度は、長らく日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」、厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する人が加入する「厚生年金」、公務員や私立の学校教職員などが加入する「共済年金」の3種類がありました。しかし、平成27年度の10月より「共済年金」は「厚生年金」に統一されているため、現在は2種類となっています。

「100年安心」といわれてきた日本の年金制度ですが、本当に安心なのでしょうか。年金制度というのは定期的に見直されているので、破綻はおきないといわれています。しかし負担が増える一方で、もらえない可能性はゼロではないともいわれており、不安は大きくなるばかりです。

2:年金がもらえなくなるといわれる理由

では、なぜ年金がもらえなくなるといわれているのか、その理由について確認しておきましょう。

(1)年金は親や祖父母世代への仕送りのようなもの

そもそも年金とは、「現役で働く世代が保険料を積み立て、65歳以上(2020年現在)になったら受け取る」という仕組みではなく、「現役世代が払う保険料で、65歳以上の世代を支える」制度です。わかりやすくいえば、今まで働いてくれた親や祖父母世代へ、現役世代が渡す「仕送り」のようなものだといえるでしょう。

なので、このまま少子高齢化が進んでいくと、今の若い世代が年金を受給するころには、財源が不足して年金制度が破綻すると考えている人も多いようです。

しかし実際には厚労省主幹の「年金積立金管理運用独立行政法人」というものがあり、年金として支払われなかったお金は積み立てて運用されています。

(2)現役世代への負担増という現実も

内閣府が発表した「令和元年版高齢社会白書(全体版)」によると、

昭和25(1950)年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の現役世代(15〜64歳の者)がいたのに対して、平成27(2015)年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.3人になっている。今後、高齢化率は上昇し、現役世代の割合は低下し、令和47(2065)年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になる

出典:令和元年版高齢社会白書(全体版)/内閣府ホームページ

との報告がありました。

これでは、現役世代の負担がどんどん大きくなっていき、今きちんと年金を払ったとしても、将来自分たちがもらえなくなるのでは……と心配になるのは当然のことです。

3:本当に大丈夫なの?年金制度の懸念点

(1)少子高齢化

結婚しない人や子供が欲しくない夫婦が増え、人の生き方が多様化している現代。前出の「令和元年版高齢社会白書(全体版)」によると、

我が国の戦後の出生状況の推移を見ると、出生数は、第1次ベビーブーム(昭和22(1947)~24(1949)年。この間の出生数805万7,054人)、第2次ベビーブーム(46(1971)~49(1974)年。この間の出生数816万1,627人)の2つのピークの後は減少傾向にある。

出典:令和元年版高齢社会白書(全体版)/内閣府ホームページ

とあります。医療の発展により助かる命も増えているため、高齢世代がますます増加していくことは間違いないでしょう。

日本の年金制度は、働く現役世代が65歳以上の世代を支える「賦課(ふか)方式」です。現役世代の納付金はもちろん、今までの積立金や税金も投入し年金制度を維持しています。

しかし、非正規雇用が増えているため厚生年金の納付率が低かったり、厚生年金と一体化した共済年金が実は破綻しており、今もすでにその赤字の埋め合わせをしているといった理由から、赤字は膨らむばかりだといわれています。

(2)世代間格差の問題

また世代での問題点もあります。現在65歳以上の世代は、自分たちが支払った年金保険料に比べて給付される割合が高く、若い現役世代は、支払った年金保険料に対して将来受け取る金額が少なくなるといわれています。世代での不公平感はぬぐえないでしょう。

4:年金がもらえない人もいる…もらえる人の条件3つ

(1)最低10年以上、保険料を支払う

日本の年金制度では、定められている期間の保険料を支払わない限り、1円ももらえません。厚生年金も国民年金も、最低10年間は保険料を支払う必要があります。

会社員や公務員などの年金は給料から天引きされるので、自動的に支払うことになりますが、注意すべきは自営業やフリーランスの人たち。未払い・滞納などの問題が度々取り沙汰されています。また支給額は納付期間によって変わります。

(2)合算対象期間を証明する

老齢基礎年金を受けるためには、原則として最低10年の年金加入期間が必要です。しかし「合算対象期間」という、年金額には反映されないものの受給資格期間としてみなすことができる期間があります。

「海外に在住していた期間」や「国民年金に任意加入したけれど未納となっている期間」など、年金保険料を払っていなくて、保険料の免除や猶予も受けていない期間のことをいいます。

保険料を納付した期間と免除された期間に合算対象期間を加えた期間が10年以上あれば、老齢基礎年金が受けられます。気になった人は、このような該当期間が自分にあるかどうかを調べてみましょう。

(3)納付期間が足りずに60歳になったら「任意加入制度」

年金受給の最低条件である10年を満たせず60歳となってしまったら、65歳になっても老齢基礎年金は受給できません。また老齢基礎年金を満額もらうには40年間の支払いが必要です。

しかし60歳になるまでに支払い期間が40年未満の場合でも、60歳以上65歳未満の5年間に国民年金保険料を納めることで、65歳からの老齢年金を増やすことができます。

ただし、この任意加入制度は、申し出のあった月からの加入となり、さかのぼって加入することはできません。そのほか老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない、厚生年金保険、共済組合等に加入していないなどいくつかの条件があります。ちなみに、年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人でも加入できます。

5:まとめ

日本の年金制度は今の形が最終形ではなく、定期的に見直されています。個人での貯蓄には限りがありますし、民間の生命保険はその会社自体がずっとあるかわかりません。国民の保険料だけでなく、税金も投入されている国の年金制度は、それなりに安心だといえるでしょう。

【参考】

「平成30年版高齢社会白書(全体版)」(内閣府)