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日本標準時子午線とは?グリニッジ標準時と日本の時差や各国の標準時
水野 文也F.Mizuno
目次
隠す1:日本標準時子午線とは?
「日本標準時子午線」とは、東経135度にあたるところ。京都府京丹後市から兵庫県明石市、淡路島の淡路市を通り、和歌山市沖ノ島をかすめて太平洋に至っています。「明石市立天文科学館」にある時計塔は、日本の標準時間を象徴するものとして、おなじみでしょう。
日本国内においては、北から南まで、どこに行っても時刻は同じですが、日本標準時は、もともと太陽が正午に日本標準時子午線を通過したときを基準に算出されていました。その日本標準時子午線は、世界標準時の基準となる、英国グリニッジ天文台を通るグリニッジ子午線(経度0度線)より、9時間の時差があります。
2:グリニッジ標準時とは?日本の標準時はなぜ明石に決まったの?
前出のグリニッジ標準時、あるいはグリニッジ平均時(Greenwich Mean Time:GMT)は、グリニッジ天文台・グリニッジ子午線(経度0度)における平均太陽時を意味します。
平均太陽というのは、その意味を調べみると、下記のとおりです。
実際の太陽(真太陽)が真南に来てから、翌日に真南にくるまでの時間を計ると、日によって数秒から数十秒の長短ができる。 その原因は、地球の自転軸が公転面に対して23.4度傾いているためと、地球の公転速度が日によって異なるためである。 そこで、真太陽の動きを平均した太陽(平均太陽)を考え、その太陽の位置で時刻が決められている。
出典:明石市立天文科学館サイトより
18世紀、当時7つの海を制したといわれた英国の船員が、航海中にグリニッジ子午線からの現在の経度差を計算するために、自分たちの時計をGMTに合わせたのが始まり。その後、グリニッジ平均時は、国際的な基準時刻として採用されました。
当時の英国の隆盛を示す名残りともいえそうですが、日本も含む世界各地域の標準時も、これを基準としました。詳しくは後述しますが、現在の国際的な基準時刻は概念を修正した、協定世界時 (Universal Time Coordinated:UTC)を用いています。
一方、日本の子午線ですが、なぜ135度なのかというと、15で割り切れる数字にするため。地球一周360度を24時間で割ると15度……。つまり、経度15度ごとに1時間の時差となるため、明治時代に、そこを通る明石市に決定しました。
日本国の法令では、標準時の定義について「東経135度の子午線の時」をもって日本における一般の標準時と定められています。なお、明治時代には、南西諸島や当時は日本の領土だった台湾などを対象に「西部標準時」というものが存在し、日本にはふたつの標準時が存在する時期がありました。
3:GMT、UTCって何?海外と仕事をするときに知っておきたい日本と世界の標準時
グローバル経済が進展する中、ビジネスの世界では各国間でやり取りする際、時差を考慮しなければなりません。例えば、国をまたいでテレビ会議をする場合など、開始時間を参加者で共有しようとすると、時差で勘違いが発生する可能性があるため、世界標準時で時間を共有する必要があります。
そのひとつが、前項で示したGMT。もともとは、航海にかかった時間で出発地からどれくらい離れているか位置を割りだすために始まり、国際的な基準時刻として採用され、世界各国の標準時の基準とされてきました。
しかし、現在ではUTCがそれに替わっています。UTCとは協定世界時(Universal Time Coordinated)の略です。GMTが英国のグリニッジを通る本初子午線を基準にしたものであるのに対し、UTCはセシウム原子時計を基本にしています。ただ、GMTはUTCと同義語とされるケースが多いようです。
一方、日本標準時(略称はJST:Japan Standard Time)は、ビジネスや報道の場では日本時間といわれ、国立研究開発法人情報通信研究機構などの原子時計で生成・供給されるUTCを9時間(東経135度分の時差)進めた時刻(UTC+9)をもって、日本における標準時としたもの。NHKなど、全国放送局やNTT(117)の時報は、これが用いられています。
4:日本標準時や世界の時間がわかるアプリ3選
ビジネスだけではなく、海外旅行などで標準時を知っていると重宝します。たとえば、海外から日本に電話をかけようとするとき、相手が夜中だったら失礼ですよね。日本の標準時がわかれば、電話をかけていい時間かどうか判断できます。
便利なのは、空港などに設置されている各国の標準時がわかる世界時計ですけど、手元でわかればもっと便利。そんなアプリを以下に紹介しましょう。
(1)世界時差時計-Time Converter-
『世界時差時計』のiOS13対応版をリリースしました!
スクロールするだけで勝手に時差計算してくれる超便利アプリです。
海外出張✈️や海外との電話会議🌏が多い方からご好評いただいております✨https://t.co/Zuie8WS15I pic.twitter.com/0tTqnHdpCG— nasu (@100nasu) September 30, 2019
世界500都市を網羅。時差を知るのにとても便利です。アプリ内課金はありますが、基本的には無料です。
(2)TiZo Pro
TiZo Pro(世界時計) for iOS v1.4.1 リリースしました。日付ピッカーの上に、タイムゾーン名称の表示を追加しました。 #海外旅行 https://t.co/xhVnaaxMDC pic.twitter.com/A4Dh9cfqkS
— blowbend (@blowbend) April 27, 2015
時差の把握だけではなく、スケジュール管理もできるという優れものアプリ。120円で有料です。
(3)Timelet
Timelet やっぱ便利と思う。自画自賛な。 pic.twitter.com/GBpIptlKsl
— horiuni 🥯 (@horiuni) February 21, 2016
最大4都市を1画面で表示できるのがとても便利です。有料で150円。
5:まとめ
筆者が国際的な通信社に勤務していたとき、例えば、海外で予定されているイベントの時刻をGMTで確認して時差を足し引きし、「日本時間の何時で~」という感じで記事にしていたなど、仕事の役に立っていました。でも社内でのやりとりは、GMTに換算……などということは一切なく、フツーに日本時間を使っていましたね(笑)。