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「お力添え」の意味と使い方は?ビジネスで使える例文と間違った使い方の例

槻谷岳大

槻谷岳大T.Tsukitani

目次

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1:「お力添え」とは?

まずは「お力添え」の意味を見ていきましょう。

(1)お力添えの意味

お-ちから-ぞえ【お力添え】

他人の仕事を手助けすること。力を貸すこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「力添え」だけでも意味は通じるでしょうが、「お」を付けることによって、「目上の人からのサポートを頂いた」という、さらなる感謝の意を含むニュアンスの敬語になります。

ちなみに「お力添え」は、以前筆者が執筆した「大和言葉」のひとつです。情緒の美しい大和言葉であるからこそ、人の心に良い印象を与えられる効果があるのではないかと思います。もしも興味があれば、『MENJOY』過去記事「大和言葉って美しい!恋や花・季節に関する大和言葉と可愛い名前」をご参照ください。

(2)お力添えの類語

お力添えの類語としては、「尽力」「助力」「援助」などが挙げられます。「ご尽力いただきたい」などと使えます。ただ「助ける」「協力する」という意味は同じでも、「お力添えいただけますと幸いです」という方が知的な雰囲気も醸しだしてくれる気がします。

2:【例文つき】ビジネスで使える!「お力添え」の使い方5つ

それでは「お力添え」の具体的な使い方をみていきましょう。

(1)お力添えください

シンプルにお願いする言い方です。「この度の案件、どうか、お力添えください」などと使います。メールの末尾などに付けると終わり方がきれいに。「お力添え」を使った、最も短いフレーズのひとつですので、簡潔に助けが欲しい願いを伝える際には、良いかと思います。

(2)お力添え賜れますよう宜しくお願い申し上げます

お願いをする際に、(1)のシンプルバージョンを、より丁寧なフレーズにしたひとつです。

「急なお願い事で恐縮ではございますが、お力添え賜れますよう宜しく申し上げます」などと使います。(1)の場合よりも、「賜れますよう」と、相手に判断を任せたニュアンスの言い方のため、より丁寧な印象を与えることが出来るかと思います。

(3)お力添えの賜物です

御礼や感謝を伝えるときの言い方です。

「この度の成功は、部長のお力添えの賜物です。ありがとうございました」などと使います。既に頂いた支援に対し、感謝を述べる際によく使います。

(4)お力添えのお陰様で

こちらも謝意を伝える際に使います。

「御社のお力添えのお陰様で、今回は良い結果を得ることが出来ました。深く御礼申し上げます」などと使います。

(5) お力添えいただいたにも関わらず

逆に結果が出せなかった際に、感謝を述べつつもお詫びを申し上げる際にも使います。

「この度は、多大なるお力添えをいただいたにも関わらず、思うような成果を得ることができず大変申し訳ございませんでした」などと使います。

3:二重敬語に注意!「お力添え」の間違った使い方3つ

次に、間違った用法を見ていきましょう。

(1)自分からする「力添え」はない

相手から受けるサポートに対して、受けた人間がその感謝の念をより表すように使うのが「お力添え」です。たとえ敬語の「お」を抜いても、自分が他人にする助けを、自分で「力添えする」とはいえないので注意してください。

例えば、「今回は私が微力ながら力添えさせていただきます」などは、一見正しいようにも見えますが、自分がすることに対して尊敬語の「力添え」を使っているので間違った用法です。この場合は「尽力」などを使いましょう。

(2)目上の人に対しては使えない

同じように、自分より目上の人、例えば上司に対して「お力添えさせていただきます」などとは使えません。さらに失礼な印象を与えてマイナスイメージを作ってしまうので絶対に間違わないようにしましょう。

この場合も、「微力ながら全力で取り組ませていただきます」のような言い方が、謙虚さも含んでいて良いかと思います。

(3)「お力添えになられる」は二重敬語でNG。「お力添えになる」が正解

上司などがしたことに対し、「お力添え」と「なられる」という敬語をダブルで使用するのは、厳密には間違っています。「ご覧になられますか?(正しくは、ご覧になりますか?)」と同タイプのものです。

言葉は生きていますので、大きな違和感なく通じていればいずれ許容されるようになるものもありますが、解る人はよく見ている場合もあるので、注意しましょう。

4:まとめ

今回はビジネスシーンをメインにご紹介しましたが、「お力添え」は他の世界でも使えるものです。

例えば、筆者が生業としている政治の世界だと、「お力添え」は選挙の際に多用される言葉です。ただし公職選挙法という法律があり、1~2週間の選挙期間の前は「投票してください」とは言えないので、「お力添えください」とぼやかして言うことがあります。

政治家は多くの有権者の支援があって初めてなれるので、年配の候補者が年若な女性に「お力添え、お願いします」なんて頭を下げて回ってるシーンもよく見かけます。

そういう場合も、「支援してください」や「援助ください」というと生々しいですが、「お力添え」は場の雰囲気も悪くしない言葉です。このすぐれた大和言葉、うまく使うといろいろと得かもしれませんね。