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「承知しました」と「承知いたしました」の違いは?ビジネス例文と言い換え表現
大山奏K.Ohyama
目次
隠す1:「承知しました」「承知いたしました」の意味は?
(1)承知の意味
まずは「承知」の正しい意味を辞書で見てみましょう。
しょう‐ち【承知】
[名](スル)1 事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。
2 依頼・要求などを聞き入れること。承諾。
3 相手の事情などを理解して許すこと。多く下に打消しの語を伴って用いる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
今回ご紹介する「承知しました」や「承知いたしました」は1番目と2番目の意味で使われています。文脈によってどちらの意味になるのかが変わるので注意が必要です。
(2)ビジネスでの承知しましたの意味
ビジネスの場面での「承知しました」は、相手が頼みごとをしてきたときにOKする意味で使われます。
また、相手の言ったことを理解したというときにも「承知しました」と使うことがあります。ただし、「ただ理解した」というよりも、その結果、何か行動を起こすことに関してまで考えが及んでいる場合に使われることが多いです。
2:「承知しました」「承知いたしました」の意味の違いは?
一見すると同じような表現に思える「承知しました」と「承知いたしました」ですが、言葉としての意味に違いがあります。
「承知しました」は「承知する」を過去形にした形です。承知するの「承」の字は「うけたまわる」という意味なので、「承知しました」でも敬語として問題にはなりません。一方「承知いたしました」の「いたす」は「する」の謙譲語なため、目上の人に対して使える、よりていねいな表現となっています。
上司や先輩など、目上の人に対しては「承知いたしました」を使ったほうが良いでしょう。
3:「承知しました」が使えるシチュエーション&例文3つ
具体的にはどんな場面で「承知しました」「承知いたしました」が使えるのか見てみましょう。
(1)時間などを決める場面で
例えば、取引先の人が自分の会社に来訪する予定を伝えてきたときなど、「〇日の15時ですね、承知いたしました」などと使えます。
逆に自分が相手の会社に行く予定があり、都合の良い時間を教えてもらったときにも、確認の意味を込めて同じように使えます。
(2)接客でお客様の答えに対して
レストランなどに入ると「何名様ですか?」と聞かれることがありますよね。そして「ふたりです」などと人数を答えると「2名様ですね、承知いたしました」と返ってきます。その後、オーダーをした際にも「○○ですね、承知いたしました」と返事をされることがあるでしょう。
こんなふうに接客業では、相手に何かを言われた返事としてよく「承知いたしました」が使われます。「かしこまりました」も同じくよく使われますね。
(3)上司など目上の人に何かを頼まれたとき
上司から出張のための飛行機の手配を頼まれたり、プレゼンテーションの資料の作成について頼まれたりしたときにも、「○○ですね。承知しました」と使えます。
ただし、これを使うときには、しっかりと内容がわかっていないと危険です。もし不明瞭な部分があるのなら、しっかりと質問したほうが良いでしょう。
4:「承知しました」「承知いたしました」の言い換え表現4つ
同じ言葉ばかりを繰り返して使うのは、くどく感じられることがありますよね。「承知しました」の言い換え表現も同時に知っておけば、場面に応じて使い分けられます。
(1)かしこまりました
「かしこまりました」は「わかりました」をていねいに言った表現です。ほとんどの場合で「承知しました」と置き換えることができます。ただし「かしこまりました」は身分の高い人に対しての畏れ多い気持ちを表現しているため、「承知しました」よりもよりていねいさが上に感じられます。
(2)了解しました
「了解しました」も意味を理解したという意味のていねい語として使われます。ただ承知よりも了解のほうがフランクな印象を与えやすいため、目上の人に対して使うことはあまりおすすめできません。同僚などに使うのであれば、それほど問題視されることはないでしょう。
(3)了承いたしました
「了承いたしました」の意味も、「承知しました」とほぼ同じです。ですが一見ていねいな言葉に見える「了承」ですが、「それで大丈夫です」というような軽い印象を与えてしまうことがあります。そのため、こちらも目上の人などに対しては使わないほうが無難でしょう。
(4)承りました
「承(うけたまわ)りました」という言葉もビジネスではよく使われますよね。この言葉には「しっかり聞いて理解しました」という意味と、「(私が)引き受けました」という意味があります。そのため「承知しました」と同じ場面で言い換え可能なことがあります。
5:ビジネスでは「承知いたしました」を使おう!
ビジネスの場面では言葉ひとつの使い間違いで、相手に不愉快な思いをさせてしまうことがあります。ですから、「承知しました」よりもよりていねいな「承知いたしました」を使うようにしておいたほうがリスクが少なくなります。
ただし同僚や親しい相手などに対して使うと、よそよそしいイメージを与えてしまうこともあるので、そこはケースバイケースですね。