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上級国民ってどんな人?上級国民とされる人々の例と上級国民のメリット

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:上級国民とは?『上級国民/下級国民』という本も

いまも裁判中でしばしば話題になりますが、「上級国民」が広く注目されたきっかけは、昨年4月に東京・池袋で死者2人、負傷者8人を出した自動車暴走事故でした。車を運転していた元高級官僚が、現行犯逮捕されなかったことから、「この人は上級国民で特別な存在なのでは?」との疑問が広がりました。

上級国民には明確な定義づけはなく、ニュアンスとしては特権階級に近い言葉です。一般の国民に比べて処遇が優遇される……その典型的な例として示されたのが池袋の事件で、この事件に対応した警察、容疑者に対して世間の怒りがぶつけられています。

こうした状況は、日本だけに限りません。民主国家では法的に存在しないはずの上級国民が世界のいたるところで見受けられます。人気作家・橘玲さんが、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出した『上級国民/下級国民』(小学館新書)という本も話題になりました。

2:上級国民とされる人々5例

(1)政治家


特に、国会議員については、国会の会期中は不逮捕特権があったり、新幹線や飛行機が乗れる無料パスが支給されたりします。法律や制度で数々の優遇策があるため、実際に真摯に仕事をしている議員についても、上級国民として見る人は多いでしょう。

(2)高級官僚

政治家が選挙という洗礼を受けるのに対し、官僚は試験に合格して採用されれば、法律によって身分が守られるため、そうした意味において、政治家以上の上級国民といわれるかもしれません。

なぜ、公僕であるべき高級官僚が上級国民になりうるのか。役所の許認可で権限をもち監督される立場であれば、逆らえない雰囲気が出ることが大きな理由でしょう。

(3)社会的な影響力が大きい人

政治家や高級官僚も該当しますが、社会に影響力を及ぼす人は、これらに限りません。幅広い意味での業界団体のボスは、その代表格です。大企業の社長、大学など研究機関のトップなども、状況によってはそれにあたるでしょう。

官僚に監督される立場にある業界でも、相当な実力者であれば高級官僚を凌ぐケースもあるほど。要は世の中を動かす力がある人は、本人にその気がなくても、周辺が気を遣って諸事に優遇しようとすることが多いのです。

(4)財力がある人

お金を払って悪事をもみ消すというのも、表面化してニュースになるケースがあります。こうしたことは、財力がなければできません。「お金持ち=ワル」ということはないですけど、財力があることは上級国民になるひとつの要因であると考えられます。

(5)親の七光りがある人

「親の七光り」によってトントン拍子で上級へステップアップする人もその例のひとつ。二世でもそれなりの苦労はあるものの、バックグランドが何もない徒手空拳の人に比べれば、遥かに恵まれているのは間違いないでしょう。若くして、上級国民のようになる人は、「親の七光り」が大きいと思われます。

3:上級国民のメリット3つ

(1)優遇、忖度されやすい

物事について優遇されやすい、忖度してもらえる。これに尽きるのではないでしょうか。逮捕・起訴されないなどは典型例。相手が自分の所属する組織を監督する立場であれば……。ここから先は記さなくても想像できると思います。

スケールの小さな話では、例えば、スポーツ観戦やコンサートなどで、普通では手に入らないチケットが容易に手に入る、それどころか、ご招待されてしまう。このような優遇も多いでしょう。

(2)経済的な恩恵がある

「天下り」はその典型例ではないでしょうか。企業を定年退職すれば、再就職に苦労するものですが、高級官僚は「天下り」ですんなり民間企業に再就職できるケースは少なくありません。

それを考えると、産業グループにおける大企業や銀行で役員などを務めた場合はどうでしょうか。子会社や系列会社に「天下り」するケースも多いので、実は大企業で出世した人も、不逮捕などの特権がないだけで、経済的な恩恵が大きいという意味では上級国民といっていいかもしれません。

(3)プライドがくすぐられる

おそらく、上記に挙げた人は、パーティーなどでは来賓として呼ばれる、宴席では常に上座となるのではないでしょうか。そう、プライドが高く、常に優越感に浸りたい人には、上級国民になるというのはすばらしいことなのかもしれません。非常にくだらないことと思いますが……。

4:まとめ

政治家は上級国民と記しました。その点でいえば、筆者も「元」上級国民かも(苦笑)。ただ、現職時代、そのように思ったことは一度もありません。むしろ、自分の立場を考えると、品行方正にせねばとストイックになり、議員時代はプライベートでも窮屈な生活をしていたように思えます。

それは「次の選挙」を考えてのことでしたが、そういう意味で、上級国民は失うものも多いといえるでしょう。

悪さをすると、それが発覚すればすべてを失いかねません。だから自分の立場を利用して取り繕おうとします。そうした姿を世間が見て、「上級国民」と批判することが多いように感じます。